今は冬の気候で寒いってのに、俺達は はぁはぁしながら汗だくになって交じりあっていた。

…予想以上に体力を使う。
もう30近い俺には若者の体力&性欲に付き合っていられるほどの体力はないのだ。
んでもってあっちの方ももう限界ぎりぎり。
でも、どうしてもぎりぎりの所までしかいけない。


「…っあ!んぅっし、かぁ…イき、たい…っ!」

「はい、僕ももう…。いっぱい出して、下さいね」

鹿もなかなかに切迫詰まったような顔して、腰の動きはそのままに俺のソレを器用に抜き出す。
途端に、ぎりぎりまでしかいけなかった感覚が解き放たれる。
…これなら、


「…んーっ!ああ!イっ…イくっ!イくっ…」


「イって下さい、紫さん…っ」

「…っあ!ああぁっ…!」

「………んっ…」

鹿の指が尖端の溝を撫でた瞬間、ビクッと身体を痙攣させて白濁を鹿の手の中に放った。
…やっとイけた。
鹿も、俺のイったと同時くらいに達したらしい。中でひくひくとしてるのがわかる。

その感覚を嬉しく感じていたけど、射精後の気だるさと中々に激しいエッチの疲労感とのダブルパンチで俺は今にもノックダウンされそうだった。



「はぁ…はぁ…、しんど…」

「…お疲れさまです」

「つかなんや…。お前いつゴム着けたん?生かと思ってたのに」

「あ、挿れる直前に…」

「けっ。周到なやつやな…」

「生が…よかったんですか?」

「…別に。そんなこと一言も言うてないやろ。」

「すいません、」

へら、と笑う鹿。
さっきの雄々しい鹿の姿など微塵もない。あーあもったいない、なんて思ったけど、きっとこうゆうのはギャップ萌えってやつで、
エッチの時だけ普段と違うから良いものなんだ。
それに、ワンコ鹿も好きだし。



「…、これで。鹿も女に靡かんよう俺に繋げたかな。」

「………え?」

高らかに呟いた台詞に鹿はきょとんとする。

「知ってんで。今日お前が合コン行ったこと」

「…!!!!!?え?!なんでっですか…!?」

「お前が俺置いて帰るなんておかしいもん。それに俺には周りにええ子な後輩も居るしなぁ?」

挑発的に視線を鹿に向けて、指で首筋をなぞってみれば、鹿は今にも泣きそうな顔をして、

「…っっでも!僕すぐ帰ってきました!一緒にお酒呑んだりもアドレス交換も、況してや女の子をどうこうなんてもしてません…っっ!」


あまりに必死に言うもんだから俺は噴き出してしまう。それを、どうとったのかわからないが 鹿の瞳からは遂に雫が溢れてしまって、

「…僕はっ紫さん以外になんて魅力も興奮も感じません!紫さん…一筋です…っ」

「……………わかっとるわ」

もう可哀想だから苛めるのはやめよう。てか苛めてた訳じゃないんだけど、

俺は宥めるように、黙らせるように鹿の唇に唇で蓋をした。

呆けて反応が遅れた鹿も俺のキスに応えてくれて、何度も何度も味わってから唇を離した。


「お前が何にもしてきてないってのは帰りが早かった時点でわかっとったよ」

頭をなでなで、してやる。

「でも、俺、お前の家の前で待ってる時不安やってん。もし、女を連れてきたらどうしよう、とかヤってたらどうしよう、とか。そう思ったら意地でも鹿の家の前で待って、帰ってきたら何もかも吐かせたろって思て」

「でも考えたら、鹿がそんな行動とるんは俺にも問題があるからやないか、って思って思い当たったんがエッチさせてなかった事。
それで欲求不満で女に手ぇ出そうとしてるんなら…」

俺が。

って思った。


そう、鹿に言うと、なんだか傷付いたような表情をして。

「…じゃあ、紫さんが望んでエッチしたかった訳じゃないんですか…?」


「話、終わっとらんから。
でさ、もっと根本的な事を考えたらな、これ、嫉妬やんって。
合コン行った鹿に、"俺がいるのになんで女の所に?"ってゆう立派な嫉妬してることに気が付いて。更に、嫉妬してるってことは鹿の事……そうゆう意味で好きやってん、て気付いて。
だから…エッチはきっと遅かれ早かれしてた。俺、いつの間にか鹿の事………男として好きになってたから」

にこ、って笑ってやれば、鹿は何だかよくわからない表情をしていた。
どうやら、脳のキャパシティを超えてしまったらしい。目まぐるしく変わっていった話の内容を必死で処理しているようだ。

「………あ…」

「ど?わかった?」

「……あ、あの…それほんとの事ですか…?嘘とかドッキリじゃ…」

「はーん。ドッキリとか嘘で、俺は身体に鞭打って激しいエッチしたり 喘いだり すると思おてるんだ?」

「…そ!そんな訳じゃ!」

また必死の弁解。
ああ、なんでいつもこいつはこんなにも素直で真っ直ぐなんだろう。


「………くく。それもわかってる。でもこれは冗談やないから安心せぇ?その証拠に、あんま激しくないエッチに限り、またヤらせたるから」

「ほんと…ですかっ」

「ああ、ほんと」


囁くように鹿の耳元で言えば、俺の腰元を労うように撫でてくれる。それで抱き合って、キスし合って。


少し前の自分は、相方とこんな関係になるだなんて予想も出来なかっただろう。
俺もそれは望んでいなかったし寧ろ嫌だったのに。
でも、今は鹿とこうしているのが幸せで満ち足りている自分がいる。


こうゆう気持ちがきっと、

「……好きやで…鹿」

「…僕もです…!」




好きってゆうんだとおもう。



「そのヘタレ具合が好きや鹿」

「……ヘタレ…」




これからも仕事共々頼むで。
俺の大事なパートナー。