「…んっ…ぁ、ふ…」

やだ、やだ、
どうしよう、やだ、
痛いとこなんか無くなってしまった。

…如月の指が撫でるところは薬が塗りたくられているのか全部気持ち良く感じる。
それに、たまに擦ってくれる、中の一点は一際気持ち良かった。
これじゃあ如月の思い通りに嵌まってしまっているではないかと自分を叱咤するが、元来気持ち良い事に弱いからかもうどっぷりと嵌まり切っていた。

「っあ…んぁ…ぁ」

「良い顔してるな」

「…だれ、がぁ…っ」

手錠をされているから口を塞げないのが悔しい。せめてもの抵抗として両腕で顔を隠しながら唇を噛んで耐えた。


「狂犬も、快楽の前には服従か」

如月が俺を見下すように言う。

「…っ誰が…お前なんかに…!」

黙れ。俺だって好きでお前の前で股を開いているわけじゃねぇ。
俺が唯一服従するのはアニキ、ただ一人だバカ野郎…!

「…良い目だな。屈服させて泣かせて絶望させたくなる」

っこんのドSが――っ!
けど俺だって負けられない。断じてこいつの思い通りになんかならない。なんたって俺は狂犬。如月なんかに扱い切れやしないのだから。
それに、アニキの右は俺のもんだ。絶対絶対渡さねぇ…!







「―あ!…んぅ、う…んぁ」

「どうだ?気持ち良いか?」

……おかしい。おかしいおかしい!!
"断じてこいつの思い通りになんかならない"ってさっき高々と決意したのに。
脚を開かれその間に如月を受け入れ
突かれよがり悶える俺。

――こんなの絶対おかしいだろ!



指を抜かれたと思ったら如月のやつ、今度は自分の性器を取り出したのだ。
高揚した気分から一気に青冷める俺。

『男相手に勃つかよ』

そう言って俺に使った桃色の薬を自らにも使い 無理矢理、俺のケツ穴に挿れてきたのだ。
初めは痛みと苦しさで頭が狂いそうだったが薬のお陰か、嬉しくないがすぐにソレに身体は順応して…今に至る。

その効果が果たして良かったのかわからない。今現在、俺は違う意味で頭が狂いそうなのだから。

「っ、ァ…ん…んん」

「背が浮くぐらい気持ち良いのか。本当、身体は従順だなぁ?狂犬さん」

ぶっ殺してぇ…!!
その小馬鹿にしたような顔に一発いれたい!!
…普段なら真っ先にやってるのに、この忌々しい手錠さえなけりゃ…。

その時、如月が狙ったようにあの一点を突く。身体が喜んだみたいに跳ねる。

「…っんゃあぁ?!」

「ここが好きか。そうか、ならここばっか突いてやるよ」

「…え…、―っぁ!あ!あっ、や、ぁあアっ」

一瞬意識が飛ぶほどの強い快楽が俺を襲う。けど如月が引き戻してまた快楽をぶつける。その繰り返しのような激しいものだ。すぐに意識は朦朧とする。

「どうだ?気持ち良くて…意識まで飛ばしそうか?」

実際もう七割位は意識が飛んだといえる状態だった。

あいてはきさらぎ。
むりやりのせっくす。
ぜんりつせんぜめ。
……きもちいい。

しっかりしなきゃと思う。でも頭がぼんやりしてきた。けど気持ち良い事はわかる。

「ぁっやぁ…!いやぁって…んばぁっ」


――もう俺のキャパシティはとっくに越えていた。


「…ゃああぁ…あっ!」






◇◇◇




潰れて寝てしまった三船の手錠を外し、静かに布団をかけた。
その時、部屋の扉が開く。


「楽しめた?」

「……よして下さい、会長」

会長はニコニコしながらよってくる。

「なぁんだ。三船をこんなにするくらい抱けたじゃない。楽しめたみたいだね」

…楽しめた、それはどうゆうことだろうか。

「俺にこんなことさせて…どうゆうおつもりで」

会長が俺に言ったことを思い出す。…俺は好きで三船を抱いたわけじゃない。会長がそうしろと俺に"命令"をしたからしたことだ。
じゃなければ男なんか俺は抱かないしそもそも興味が、

「別に?特にないよ。まぁただ三船がうるさかったのもあるけど、そうだなぁ…強いて言うなら君の為ってやつかな?」

「…はい?」

「君には手に余る方が合うんだよ。だから任せた」


そう、優しく言って会長は部屋から出ていった。
…どうゆう意味だろうか。自分とは正反対の三船が俺と合うとは。

暫し考えてみたがよくわからなかったので無駄だと判断、身形を整え俺も部屋を後にした。






「……うう〜ん…」

寝返りをした拍子に腕と身体が酷く痛んでその痛みに叩き起こされた。

「ぁう…痛ぇ…」

くそ、最悪の目覚めだ。
両腕でベッドを突っぱねて身体を起こすが下半身の痛みとだるさに顔をしかめる。これが…犯された痛みなのか。落ち込みそうになるが頭を振って払う。

……部屋には誰もいなかった。如月の野郎、ヤるだけヤってどっか行きやがったのか。なんだよ最低な野郎だな。

「ぜってぇ…ぶん殴ってやるからな…っ」

あんな無理矢理したんだから普通は"あふたーけあ"とか"しゃざい"みたいなものをすべきだろ。あの常識はずれ野郎、見つけたら本気で殴ってやる!

痛む腰を引き摺りながらベッドから降り、部屋から出た。如月に連れて行かれる前にいた部屋に真っ先に向かい、そしてドアを開けるなり大声で叫んだ。


「きっさらぎ――!!!」

「ぅ…うるせぇなぁ!」

すると返事が返ってきた。そちらを向くと、キングサイズのベッドの上に青年…水瀬がいた。

水瀬は俺と同じ不良だったのだが最近丸くなったのか髪色を戻し制服もちゃんと着るようになった。それによくわかんないけどアニキが水瀬をすごい気に入っていてよく生徒会室にいるしよく2人でいなくなる。

…今も水瀬は寸前までアニキと一緒にいたのかよくわかんないけど、
髪は乱れ、目元は赤いし 辛うじて着ているワイシャツはくしゃくしゃだ。寝起きか?

「水瀬ぇーあの秘書知らねぇ?…つか、すげぇ蚊に刺されてんぞ」

「……え?っあ、あぁ」

水瀬のやつ、首元や胸元にすごいたくさんの赤い痕があってとても痒そうだ。
それを指摘すると水瀬は頬を赤くしてワイシャツの前を止めた。

「そうゆうお前はなんつー格好してんだよ…」

「へ?」

今度は水瀬に指摘されて自分を見てみれば、あぁ…やばい。下半身に何も身に着けていないではないか。

「うぉ!忘れてた!」

「お前、それで外に出るなよ。捕まるぞ」

呆れて笑う水瀬は、なんとなく色っぽく見えた。

「……君、なにしてるの?」

その時、部屋に響いた透き通った声。

「――っアニキ!!」