太いのを挿れられていたせいか、兄のモノの挿入は結構楽だった。
バイブのほうが太かったから俺的には後ろがゆるゆるになっていたらどうしよう、とか思ったけど全然、
兄のモノが入った瞬間ちゃんときゅっと締め付けてくれた。伊達に何回もくわえてねぇよな俺の尻。


「っはぁ…っああ…ふ、…あ」

上下運動は結構しんどいけどやっと貰えた快感だから頑張れる。でも俺は必死に、兄にも気持ち良くなって欲しくて腰を動かした。

「…っあ…ああ…あ、ん」

「すごい、きゅうきゅうして…」

「はぁっ、き、気持ち、良い?…ぉれ…ちゃんと出来てる?」

「……」

汗だくになりながら兄に手を伸ばして、触れる。
生理的に溢れ出た涙を拭って、笑顔を作り笑いかければ兄は困ったような顔をして俯いた。…あれ、気持ち良くなかったのか?


「っごめん…、もっと腰…振るか、ら」

どうやら俺だけが良かったみたいだ。
また笑顔で笑いかけて もっと擦らなきゃ、と身体を持ち上げようとしたら 兄に肩を掴まれ押さえ付けられた。

「…祐輔、いいよ」

「…え、でも」

「祐輔の気持ち、伝わった…あんなに怒ってごめん」

……へ。
兄は俺の涙を指で拭って言った。

「祐輔が僕の事、必死に気持ち良くしてくれようとしてるの伝わってきた。悪いって思ってるんだよね。…僕は、くだらない理由で的外れに祐輔に辛い八つ当たりしたのに」

「涼…」

あの兄が、フィギュアの事をくだらない、と言っている。まずその事に驚きだ。

俺は目をぱちくりさせて兄を凝視する。

「だから祐輔、もういいよ。僕が、気持ち良くしてあげるから」

「まじでか…?」

とうとう二次元卒業する気になったのか?それはそれでいい事だ。万歳。

兄にベッドに押し倒されながら俺はなんだか幸せ気分だった。兄が、いつもの優しい顔に戻ったから…。







「っぁ!…ふっ…んっんん!」

ぐりぐり、と前立腺を押し潰されると気持ち良すぎて気が狂ってしまいそうだった。
もう何度も俺を抱いて位置を覚えている兄は的確に前立腺を刺激してくるから ここ最近、俺は意識を幾度も飛ばしそうになっている。
丁度今現在もそのような状態で非常に気持ち良くて辛い。


「あっ…やめっあっ…ああ」

「だめなの?…その割りにはすっごいぎゅうぎゅう締め付けてくるけど」

…っばか!腰使うな!

ひんっと上擦った声をあげて身体が跳ねる。と、同時に俺の性器から押し出されるようにして白い液体が溢れてきた。
リングももう外して貰っていたから、どうやら軽くイったらしい。

「っはぁ…っはン、まって、まってって…ばぁっ」

「ごめんね、待てない。僕も、もうイきそうだから」

んな、ちょっとぐらい待ってくれたって…!
首をいやいやと振りながらも感じまくって無意識に後ろを締め付ける。
それが兄を昂らせそして追い詰めていることに今の俺は気付かない。

「祐輔…」

「…ぁ!はぁっ…くそ、またイ、く…っん」

「中、にいい?」

「…あぁ、っうん、出してっ…中に…く、れ!」

中を抉るような兄の動きに、もう俺は意識があるようでないような不思議な状態になっていた。言っていることも無意識のもので俺が考えて発したものではない…と思いたい。


もう限界が近くて兄に手を伸ばしてしがみつき、ぎゅっと目を閉じた。
その時、兄の呻くような小さな声と共に打ちつけられていた熱い杭が中で爆ぜ、その快感で俺も達した。




◇◇◇




…イった後、どうやら意識を飛ばしてしまったようだ。眠った記憶がないから恐らくそうだろう。

「…涼」

「あ、おはよう」

傍で段ボール箱を弄っていた兄に声をかける。
まだ起き抜けでぼんやりしてる俺だけど 兄の手の中にある段ボール箱はさっき前橋が階段から落としてしまったものだろうとわかった。

「祐輔、大丈夫?さっき急にガクンってなったから驚いたよ」

「あぁ…飛んだっぽいな…。でさ、その箱…」

「ん?あぁ、そうだよ」

「人形大丈夫か…?つか、悪かったよ…本当」

「もういいんだ。…僕こそごめんね。こんな事で怒って」

兄が…兄が、フィギュアを"こんな事"と。そういえばさっきも"くだらない"と言っていた。
とうとう…人形を卒業するときが来たのか。やっと、やっと人形に恋するなんて無駄だと…っ

「涼…っ」

「箱しか入ってないもん。この段ボール箱」


………は、?


「え…それ、どうゆう…」

「どうゆうって、フィギュアの入っていた箱が、入ってる段ボール箱、だよ?」

ちょっと待て。
起き抜けの俺の頭はパンクしそうだ。一先ず整理させてくれ。

人形が入っていた、箱

要するに空き箱?

それが入っている段ボール箱?

要するに………


「…っ空同然じゃねぇかぁあ!!!」

とんでもない結論に至った俺は、兄を思いきり怒鳴りつける。兄は驚いてヒッと短い悲鳴をあげて縮こまった。

「か…っ空じゃないよ!フィギュアの箱が」

「その箱は空だろ!なら空の入れ物だって空だ!」

ちょっとこれはどうゆうことだ。
落とした箱が空ならだいぶ話が変わってくる。
俺は、あの中には兄が大切にしているフィギュアが入っていると思って、
前橋の罪を代わりに被り、必死に兄のしてくる事に耐えたんだ。

それなのに…それがただの空き箱だっただと…?!

ならなんだ。俺が被った罪とやらはそんなに重くはなかったんじゃないのか。あそこまで酷いことされる筋合い、なかったんじゃ!?

…メラメラと、腹の底から怒りの炎が燃えあがり始める。


「………っくそ兄が…また人形ぶっこわしてやろうか」

「…えっ!」

「…それほど腹たってんだよ」

「な…なんで…?」

「空の箱ごときに怒って俺に意地悪いっぱいしたからだよ!」

「だって祐輔が前橋くんの代わりに…」

「フィギュアを壊したと思ったからだよ!それが…空だったなんて…」

はぁあぁ…。
自分で言ってて悲しくなって身体の底からため息を吐いてそのままベッドに倒れ込んだ。

これじゃあなんのためにバイブの苦痛に耐えたんだかわかりゃしねぇ。
無駄だった。

「…ゆ、祐輔…機嫌直してよぉ」

「………」

「祐輔…」


「……じゃあ、条件。
そうだなぁ。
俺が、気持ち良すぎて泣き喚くくらい抱いてくれたら許してやろうかな」

「え、」

「ちなみにそれ3回出来たら、機嫌直してやる」

立場逆転。今度は俺が怒って命令してやる。
さぁどうなんだよ?と聞けば、兄はすぐに頷いた。


「…任せてよ」

その反応に俺はニヤリと口角をあげる。じゃあ最低3回、兄とセックスするまでは不機嫌でいないとな。
…最悪、フリをしてでも。


「涼、水飲みたい」

「う、うん」

王様と家臣のようにデカイ態度で命令してやる。

…そこまでしてでも、兄とヤるのは好きだから。
俺をそこまで行為好きにしたのは兄なんだから、兄には責任をとって、俺が満足するまで付き合ってもらわねばならないだろう。
もちろん、俺より先に俺にに飽きるなんて断じて許さない。


「はい、お水」

「違うだろ、どう飲ませろっつったっけ」

「あ…、こう、だったね」

「…ん…」


腹も立ったけどまぁ、この状況を、俺は楽しく思っていた。兄を今、俺だけが占領して、俺の思うがままできることに。

(俺から、離してなんかやらねぇからな)

心のなかで呟いて、口移し中の兄の頭を掻き抱いた。





END