部屋に連れ込まれ、乱雑にベッドに投げられる。
弁償金を想像していた俺は、ベッドという意外な場所に目を丸くする。
だが兄はそんな俺には目もくれず、スウェットと下着を素早く剥ぎ取り
何処から入手したのか知らないが"リング"を取りだしまだ萎えて反応も示していない俺の息子の根元に装着した。

…あれ、この道具知ってるぞ。確か、イけなくする為に塞き止める道具だった気がする。
それを、俺に?しかも着けるって事は何か気持ち良い事をすんのか?

少し期待に満ちたような目で兄を見詰めていたが、ふと兄の手に握られているモノに目がゆき、その瞬間、凍り付く。


その手には…

「…っそれ、バイブ…?」

紫色でグロテスクな形をしてる、おっきいやつ。

「…え、え」

それを?それを?
何をするのか考えたくもなくて、迫ってくる兄に俺はただただ怯える。

そして脚を大きく開かさせられ、そこに大量のローションをぶっかけて いきなり指を2本、突き入れられた。

「…っぁ!ぃっ…た!」

「すぐ慣れるでしょ」

こんなに乱暴に扱われた事がないから俺はただ身体を震わせるばかり。
でも、初めは痛かった指も 的確に前立腺を擦られ連続した快感を与えられれば
快感に弱い身体は次第に堕ち、息も荒くなってくるもので。

「っはぁ…ぃ、痛い」

俺はもう反応して起立し始めてる息子に手を伸ばす。リングがもう苦しくて取り去ってしまいたい。
だが外そうと動く手をすばやく兄に取り上げられてしまった。

「く…苦しいんだよ…っ」

「祐輔が前橋くんの責任負うって言ったよね?」

責任…。
確かに負うって言ったけど…。え、もしかして責任ってまさか身体で払う…的な事なのか?

「…っなら、俺…ぁっ、…騎乗位してもいいし、善くしてやるから。
だから、…せめてこのリング取ってくんね…」

本気で苦しくて必死に交渉を試みるも、兄は前立腺を指の腹でぐりぐりと押しながら、

「っひぅ…!」

「悪いけど、…ダメ」

意地悪そうに口角をあげた。兄のそんな表情、見たことなくて背筋を凍らす。
そして兄は慣らしきれてもいないのに、指をギリギリまで引き抜いて、入り口を拡げ、あのグロテスクでおっきいバイブをそこに押し付けた。

「…―っ!いっ…」

「ちょっと、力入れないで」

「っんなこと…っ!出来るわけねぇ、だろ!」

明らかに、入るとは思えない大きさのバイブ。いくら指で拡げたって慣らしが甘いのだから限界がある。

「痛ぇ!痛ぇ…よ!」

痛みに喚く俺。けど、強く押し付けられて無理矢理だが先が中に入り始める。

「…――ぅ、んっ?!」

「ほら、先っぽ入った。これならもう大丈夫」

大丈夫なわけない。
確かにこのグロテスクなバイブは本物と一緒で先の部分が一番張り出していて太い。だから先が入ってしまえば後は楽でしょって兄は言うけど、それは受け身じゃない奴の理論だ。
受けている奴にとってはそれが奥に行くまでも辛いし動かされれば臓器を押し上げるかのような圧迫感が酷いのに。

「…―っあああ!」

今みたいに先が入ったからと、無理矢理一気に奥深く刺されれば俺の負担は莫大なもの。
尻が切れる恐怖と痛みに震えながら俺は指が真っ白になるくらい強くシーツを握っていた。

「うわぁ…こんな太いものも全部くわえられる祐輔のお尻、えっちだね」

「はっ…はっ…っぬ、抜いて…」

「折角入れたのに?もっと楽しもうよ」

兄がバイブに手を伸ばす。
…や、やめろ、さわんないで!
俺は首を思いきり横に振るが、兄は躊躇うことなく手に取り 苦労して埋めたバイブを前後に動かし始める。

「いっ!痛い!…痛い!痛いてばぁ…っ!」

尻の方もこれ以上拡がらないってぐらいキツキツだからそこまで前後に動かすことは出来ないけど、それでも十分なくらいの痛みが俺を襲う。

「やっぱりそんなに抜き挿しできないか…。ならこれは?」

カチッ

行為に似つかぬ音がして、その瞬間、俺の中のバイブが低い音をあげてうねり始めた。…さっきの音はスイッチを入れた音か…!

「…いやぁあ!あっ…あああ」

「どう?気持ち良い?」

俺はベッドの上で悶える。…初めてバイブを味わった。けど中に余裕がないせいかさっきより苦しい…っ
上手く呼吸が出来なくて、はくはく、と陸に打ち上げられた魚みたいに酸素を求めて呼吸を繰り返す。

「僕の大事な段ボール箱を落とした前橋くんを帰すからいけないんだよ」

「っあ!あああ!っはぁ」

「じゃなきゃ、こんな思いしなくて済んだのに」

俺の頭を優しく撫で、そしてキスをする。けど今の俺に応えられる余裕なんかなくてただ必死に兄にすがり付くだけ。

「んああっあ、あっ」

塞き止められているし、すごく痛いしで苦しくて涙が止まらなくて、情けなくもずっと泣きっぱなしだった。

「そんなに泣いて。しらないよ、目腫れても」

「はあっ、く、んん…っ」

見上げる兄の顔が涙で歪んでよく見えないがまだ怒っているに違いない。

俺は泣きながら、兄の服の裾を握った。


……ごめん。
ごめん、ごめん、ごめん。


前橋の代わりに謝る。俺がちゃんと、強く言ってなかったからこうなってしまった、謝る。
いや…そもそも、俺が前橋を連れてきたからだ。全部、俺がいけなかったんだよ。


止まらない痛みと苦しさに喘ぎながら、必死に兄にしがみついた。

もう、限界だよ。こんな痛い思い いやだ。
このバイブ抜いてくれるんだったら何でもするし何されてもいいから。だから、だから…。


「ごっ…ごめん…なさい」


俺の、精一杯の謝罪。






「………。そんなに抜いて欲しい?」

兄が見下ろしてくる。その視線にぞくぞくしながら俺は何度も頷く。

「……じゃあいいよ。自分で抜いて」

そう言って兄は動かないから、それで楽になれるなら、と幾らか身体を曲げて奥深くまで突き刺さるバイブの持ち手を掴む。

「んっ…ああぁあ…っ」

そこからゆっくり引くと、ずるずると巨大なものが出ていく感覚がして思わず息を詰めたが 途端、ズルッと一気に抜けた。

「焦れったい」

どうやら兄がゆっくりな俺の動作に焦れて引いたようだ。外に出ても動き続けていたバイブを止める。

「ぁ…はぁ…っはぁ…」


バイブが抜かれて、やっとあの痛みと苦しみから開放された。

……でも、だ。あんなに苦しんでくわえていたというのに。抜いてすぐ、なんだか後孔が物足りなく感じていた。尚且つ一回もイってないからかもやもやとしたものが晴れなくて。

「……っ涼」

汗だくで既にだるい身体を起こしてズボンごしだが兄の股間に顔を埋めた。

「何?」

「…っこれ…、ちょうだい…」

「バイブで満足したんじゃないの?」

「違う…っおれは……涼のが、いい…」

「……」


口に出して言うことには少し躊躇われたが、この際そんなことは言っていられないと思った。

だって本当なんだ。
おっきくて太いオモチャなんかじゃなくて、俺が本当に気持ち良くなれるものは、兄のそれしかない。
今日初めてオモチャを使われて思ったんだ。全然気持ち良くないし、満たされもしないって。


「…お願い…」


「…好きにしてよ」

思い切ってお願いすれば、困った顔をしながらも兄は小さく答えた。
これはOKということだろう。早速俺は兄のズボンの前を寛げ、下着をずらして目的のモノを取り出す。そのスピードになんとゆう手早さだ、と俺自身驚いた程だ。

…それから、することなんてひとつだよな。

「は……んむ」

少し反応を見せているそれを、握り そしてなんの躊躇いもなく口に含んだ。

「…ゆう…すけ」

「は……ん、ん、」

先を充分に濡らしてから竿の裏を滑るように舌を這わし、奥にある袋までもに愛撫してまた先に戻る。今度は溝や括れをしっかり舌で刺激してやれば、簡単に完勃ちになってくれた。


「誰かにやってたみたい」

「初めてに、決まってんだろ…ん…ん」

誰が他の男のチンコ舐めるかってんだ。
きっとこうされたら気持ち良いんだろうなって事をしただけだ。感じてくれるか不安だったが、兄弟だけあってか兄にも効くようで良かった。

「ん…っん…」

嬉しくなって、先を口で愛撫しながら竿の方は手で抜く、という初めての俺にはなかなかに難しいものだが、気持ち良くなってほしくてぎこちない手付きで奉仕する。
ここまで頑張るのは出来れば口でイってほしいと思っているからだ。
兄のなら口に出されても何となく大丈夫そうな気がするし、何より気持ち良くなったという証しが欲しかった。
だっていつも俺がイかされてばかりだし、たまには俺のすることでイってもらいたいと思ったから。それに怒っているなら尚更だ。
俺が全面的に攻めて今度は兄を、いい気分にして満足させたい。


「ふ、…ん、…ん…」

「…っ…」

ぴくっと兄の身体が強張った。限界が近いのだろうか、俺の手の中にあるものも完全に起立し、血管が浮き出るほどに張っている。

…これ、挿れてもらえたなら絶対気持ち良いだろうな…とゆうあらぬ邪心を少し抱えながらも奉仕はきちんと続け、射精へと誘う。

「…っ祐輔…」

俺の頭に手を添えてもう限界そうな声で俺の名を呼ぶ。…やっとか。

俺は手の動きを早め、口での愛撫を少し荒めにする。

「はぁ…出して…っ」

「…祐輔…っ」

わざと先に優しく歯を立ててやれば、その刺激で兄は達した。…口に放たれた快感の証し。とたんに広がる独特の味に少し涙目になるが、兄のだと思えば飲み込む事も余裕で出来た。

「……うそ、飲んだの」

「んはっ…、あぁ?悪ィかよ」

「悪かないけどでも」

「お前のなら特別飲めんぜ俺」

なんでそう思ったのかはわかんねぇけど、誰にでもこんなことやっているように思われたくなくて言った。
そのままの流れで兄に唇を近付ける。

「え、嫌なんだけどその口で」

「お前のだろーが」

嫌な顔をする兄を押さえ付けて、結局無理矢理キスをした。

「……まずい」

「だからお前の味だって」

確かに自分の精液を舐めたことなんてねぇだろうからわかんねぇだろうけど そこまで嫌な顔すんなよ。仮にも、お前の、なんだから。

そして再び唇を合わせながら、俺は体勢を変え兄の身体の上に股がり対面座位のような形をとる。この体勢をとったということはもう目的はひとつ。


「ここ…、涼ので埋めて…」