２







キスされてるって感覚は初めはなかった。乳首への愛撫が良くて頭がぼーっとしていたから、ただ柔らかい物が触れているなとしか思わなかった。
けどある程度長い間口を塞がれていると呼吸が苦しくなってきて、そこでだ。
漸くキスされていることを脳が認識したのは。


「…ん！…む、ぅ…っ！」

驚いて必死に高崎を押し返そうと努力するが全く離れない。それでも諦めずに押したり胸板を叩いたりすると、やっと折れたらしい、口を離してくれた。

「…っぶはっ！はぁっはぁっ…はぁ…」

「何？キス慣れてないの？」

「……っ違ぇわボケ！誰が男とのキスなんか味わうかってんだ…！」

「ふぅん？男とキスは味わえなくてセックスは味わえるって謎だねぇ」

その言葉にぐさっと何かが刺さった。

「…っ俺はセックスだって…」

「あっそう、…まぁ全部僕から襲ってるしね。そうゆう事にしといてもいいよ」

とっても上から目線な言葉に、普段なら腹が立ってしょうがないだろうに、今は寧ろ言い返せない自分がいた。
……そうだ。襲われたっつっても、最終的には俺は昇天するほど感じてた。高崎のテクにしろ、拘束されてたにしろ、感じてた事に変わりない。だからって高崎とのセックスを受け入れた訳じゃないんだ。そんな言い方しないでほしい。

それに、

「…キスは…好きなやつとしかしたくねぇ…」

これは、俺の中でぶれないルールでもあったから譲りたくない。キスは愛し合ってるもの同士がするから気持ち良いんだ。心も身体も。それはセックスにも言えることなんだけど。


「…今更純情ぶるの？」

「純情ぶるとかじゃねぇ。だからって俺はそんな軽い奴でもねぇから」

ぎっと睨んでやると、珍しく高崎が黙った。あの口の達者な高崎が。

でも怯んだとかではなく、俺の目を真っ直ぐに見詰め、ただ俺を眺めているだけ。

「………」

しかし時間が過ぎていく程なんだか居心地が悪くなってきて、仕舞いには俺が困ってきた。

「……ぉ、おい…」

「……あーあ。何だか萎えちゃった」

「…は？」

「萎えたって言ってんの。だから僕生徒会室に帰るね」

「…ぇ、…えっちょ…」

そう言って立ち上がる生徒会長を反射的に引き留めてしまった俺は直ぐにはっとする。

「…何？」

「……なんでも…ねぇ」

「あっそ。じゃあね」

俯いてはぐらかせば高崎はあっさりと冷たい言葉を残して室内へと戻っていってしまった。


「………」

なんで引き留めたか…なんてわかってた。それは、、

変に高められた身体が辛かったからだ。


「……くそ…」

正直乳首だけの愛撫で俺の身体の中心は頭をもたげ始めていた。
なのにあのやろうハンパなまま止めやがって…いや別に期待とかしてたわけじゃねぇからあれだけど…。





「………」



俺は、そっとスラックスの中へと手を差し入れ、目的のモノを掴む。

「……ん…」

……外で自慰なんてしたかないけどしないで我慢はあまりにも辛い。
だったらトイレにでも行ってすれば良かったかもと思ったが、触ってしまうと止まらなくなった。

「は、ぁ、…ぁ…」


ぐちゅぐちゅと卑猥な音が響く。
初めは外って事もあるから周りを警戒していたものの、自慰を始めてその気持ち良さが身体を包むと、辺りの事なんてどうでもよくなって夢中なって抜いてしまっていた。

「…ぁっ…くぁ…」

さっき高崎がしてくれていたように空いている片手で乳首を摘む。今まで自慰の時に触った事なんてなかったけど意外に気持ち良くて、これからしてしまいそうだ。

でも…こうしてるとまるで高崎に身体を触られているようでゾクゾクする。
ここんところ犯され続けているせいなのかよくわからないけど、いつもの自慰より感じているのは確かだった。


「ふ……、ん…ん」

「…ぅ…ん、ぁ、」

あ…。もうそろそろイけるかな…、と思ったその時。

「手伝ってあげるよ水瀬」

「ひあぁっ？！…たっ…高崎…っ？！」

生徒会室に帰ったはずの高崎が、俺の背後から手を回し乳首をつねったのだ。
めっちゃくちゃびっくりしたし、突然の事に頭が回らない。

「…な…、…」

「ふふ、君の自慰見てたよ。さっき教えた乳首まで触っちゃって。よくできました」

ご褒美、とばかりに乳首を転がす高崎。でも俺はこの姿を見られてたって事が恥ずかしすぎて今にも爆発しそうだった。で…でもおかしだろ。なんで。

「はぅ…、だっ、だって帰ったはず…っ」

「僕の演技そんなに上手だった？嬉しいなぁ。
君の自慰見たくてね、わざと途中で止めてみたの。してくれるか心配だったんだけど…ほんと君は僕の期待を裏切らない」

「…ぅ…っあっ！」

演技？わざと？
なんだよそれ。じゃあ俺は高崎の思惑にまんまとハマって自慰をしてしまったって事か？全て計算の内で、帰った振りをして陰からずっとそれを見てた…？

そう考えたらなんだかゾッとした。
…なんて、腐ったやつなんだ。男の自慰をみるとか頭沸いてるだろ。


「ふざけん…っんむッ」

が、暴言を吐く前に、顔を無理矢理後ろの方へ向けさせられキスを仕掛けられる。
……嫌だっつったのに。

「ん…んむ…、んぅっ」

抵抗はするな、とかなんとか言われたけどこれだけは譲れないから俺はぐっと唇をつぐむ。
でもあいつも諦めずに硬く結んだ俺の唇を舌でなぞって、更には抉じ開けようとするから俺も必死で口を閉じ、そしてなんとか阻止する事が出来た。


「もう…ほんとに嫌なんだね。でも、燃えるなぁ」

無理矢理にやられる…？！
と身体をビクつかせるが、高崎の手が俺の股間に伸びてきた時にはそれ以上に身体がビクついた。

…そして掴まれる。

「…っひ……」

「僕が手伝ってあげるって言ったでしょ？」


そういえばそんなこと…とか思っているうちに、高崎の手が上下し、何も考えられなくなった。

「…っ…ぁ、ふ、…ん」

「いい声だね。僕、そうゆう声、すごく好き」

「……死んだら…いい…っぁ、ん」

暴言を吐いたからか、そのあと直ぐに 尖端の溝を親指の腹でぐりぐりと擦られ、身体が戦慄く。

「っあぅ…、ん…んく」

「ここ、気持ち良いよねぇ？」

「いぁっ…ぁ…あ、」

高崎は手淫も巧くて、俺は直ぐに甘く溶かされてしまって。
初めは強張り、抵抗していた身体も高崎の巧みなテクニックによってすっかり溶かされた俺は、
背後にいる高崎に寄り掛かり 巧みに抜く手を懸命に握ってこれ以上流されまいと必死に理性を繋ぐことしか出来なかった。

「…っあ、ふ、ん、っんん…っ」

「そろそろイきそうだね。いいよ。僕の手の中で思いっきりイきなよ」

耳元で低く囁かれ、耳たぶを食まれ、そして性器の尖端をぎゅっと擦られて、

「…っーあ！あっぁっっあ…」

高崎に示された通り、なんだかあっけなく、いとも簡単に昇りつめ、イかされた。