「月曜日が週のはじまりとされたのは最近のことらしいよ」

 リビングのソファでころころしながら君は言う。新聞から眼を上げると、君は気持ちよさそうに眼を細め、抱きしめたクッションに顎をうずめていた。

「最近って、どのくらいの最近?」
「ここ百年二百年くらい?」

 かなりアバウトな返答が、かなり壮大な時間感覚をもって返される。

「五百年も前に生きてたひとは、全然ちがう感覚で日を回してたのかな?」

 首を傾げながら、君はあくびを噛みころす。
 連続とは慣習か。定説とは連続か。模倣を逸脱する模倣は、もはや違うものか。

「いきものとしてのひとなんて、大してかわらないのだろーけどね」

 試すような笑みが、こちらに向けられた上目遣いの睛に閃いた。
 同じと規定する根拠は連続か。それとも、均一か反復か。
 ひとつをひとつと見なす礎が堆積であるのなら、劣化をもって更新されゆく肉塊は、個体としては同一か。剥がれる細胞と繋がれる記憶から成る私は、剥がれる細胞と欠落する記憶から成ったとしても、同一なのか。
 私は新聞を折り畳む。日付とともに印刷された、月曜という文字が目にとまる。カーテン越しの窓の外では、夜景の気配がする。
 ソファに眼を遣ると、君はクッションに顔をうずめ、うつぶせのまま眠りこけていた。


(迎えることを繰り返す月曜において、そこにいる私は、果たして、今の私と同一か)

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Oxygen shortage/酸欠
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作者/さきは

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