母の日は過ぎてしまったけれど、当日は何も出来なかったということで、ルキナが一緒に食事をしようと誘ってくれた。


お気に入りの喫茶店のテラス席に座り、外を眺めながら。


さぁ、ガールズトークってやつをしようよ。












母の日













美味しい食事に、目の前には可愛い愛娘。
そりゃ自然に笑顔にもなる。

二人で恋の話とか、僕らの馴れ初め、未来の話。

思い付く限りの話をしまくった。
笑って愚痴ってしんみりしたりして。

親子というより、姉妹のようだと思う。


話し疲れたらしいルキナが、コーヒーとケーキのおかわりを店員さんに頼む。
僕は何を頼もうかとメニューを広げると、店員さんが僕を見ながら注文を聞いた。




「彼氏さんの方はどうします?」
「はい?」


僕とルキナは二人できょとんとしてしまう。
それを見た店員さんは慌てて謝罪の言葉を述べた。



「あ、すみません。二人ともとても仲が良いので、てっきりカップルかと…」
「いえいえ。気にしないで下さい」



紅茶を注文し、店員さんが席を離れると、ルキナと二人で笑った。




「私達はお母様が女性だと分かっていますけど、知らない方から見たら、男性なんですよね」
「そうだよねー!僕も忘れてたよ!僕が女だって告白して以来、みんな僕の事女の子扱いしてくるんだもん」


でも、恋人同士に見える程仲が良く見えるのかと嬉しくて、また二人で笑い合った。





「確かに、そう考えると不思議な感じです」
「ん?何が?」
「私が知ってるお母様はどこからどう見ても女性にしか見えませんでしたから」
「あれ?そうなんだ」


意外と言えば意外かもしれない。

だって、僕は今の僕をすごく気に入ってるから。
というか、今更気恥ずかしくて、女らしくなんて出来ないってのも大きいけど。



「はい。髪も長くて、お母様自身の事も『私』と呼んでいましたし、皆から綺麗なお母さんで羨ましい、とよく言われてました」
「え?…大丈夫それ?……実はルキナの母親って僕じゃありませんでしたってオチはないよね?」



それは大いにあり得る話だぞ。
実は何らかの理由で僕が死んでたりしてさ、クロムが後妻をもらってたりして…。



「そんなことありません!お母様は未来でも大好きな、私のお母様です!」
「冗談だよ、ルキナ。座って?」



興奮気味にテーブルを叩いて立ち上がったルキナを、笑いながら諭すと、恥ずかしそうに椅子に座った。




「もう…。お母様が変なことを言うからです…」
「ごめんね、でもありがとう」
「え?」
「大好きなお母様なんて言ってくれて、さ」
「あ…。はい…それは、その…。本当の事ですから…」



拗ねたように頬を膨らませていたのに、次の瞬間には、顔を真っ赤にして俯いている。かと思えば、「このケーキ美味しいですよ!」と笑顔になった。


あぁ、やっぱりこの子は僕とクロムの子だ。と再確認する。
外見はどっちかと言えばクロム似だけど、この百面相なんて、いつも僕がクロムに言われている事だ。



「なんか…」
「え?何ですか?お母様?」
「なんか今初めて、母親の自覚みたいなのが出てきた気がする…」
「?…そうなんですか…」



何を言ってるか分からないというように首を傾げるルキナに伝えたい言葉を伝えよう。





「大好きだよ、ルキナ。君が僕の元に生まれてきてくれて、本当に良かった。僕を母にしてくれて、本当に本当にありがとう」








そう言うと、ルキナは「私も同じ気持ちです」と、恥ずかしそうに笑った。















お店から出る時、母の日だからと譲らないルキナと、母親だからと譲らない僕で、お会計合戦が起きた事までが、女の子同士の食事ってもんだろう。













▽▽▽
遅れましたが、母の日ー!
うちもまだ何もしてません。今更やるのも何なので父の日に一気にやろうと思います。

最後のルフレの台詞はうちの母によく言われる言葉です。
照れ臭くて、僕は「あぁ、ども」とか返すんですけどねー。




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