この時期になると手足が冷える。



所謂冷え性というやつだ。















冷え性
















「灯り消すぞ」
「うん」




僕の返事のすぐ後に、隣にいるクロムの顔も見えないほど、部屋が真っ暗になる。


布団に潜り込んでくるクロムが、ぽんぽんと僕の頭を撫でてくれるのが本当に心地いい。




幸せだなんて思いながら、クロムに抱き着こうとした。








「…っ!おい」


びくんとクロムの身体が跳ねて、僕まで驚く。



「え、何?」
「手。冷たい」
「だから抱き着こうとしてるんだけど…」
「お前…。寒いからちょっと離れろ」
「やだ」
「じゃあ、せめて素肌に触れてくるな」
「やだ。素肌の方があったかいもん」
「………おい」




ぐいぐいと僕を離そうと押すクロムの腕の間をすり抜け、クロムの首や手に、僕の冷たい手足を押し付ける。

特に嫌がるのは首とお腹だ。




「えいっ!」
「させるか!」
「あっ!あははははは!待っ…あははは!ヤバっははい!……死ぬ!!」


僕を引きはがそうとくすぐるまではいいけど、本気で息が出来なくなって、クロムを目一杯叩く。



「はぁっはあっ……んぐっ。は…っ。し、死ぬかと思ったぁ…」
「懲りたら大人しく寝ろ」
「はーい」
「ほら、布団踏んでるぞ。身体上げろ」
「うん。っしょっと…」



暴れたせいでぐしゃぐしゃになった布団を二人でかぶって、クロムが枕を直す。




「…………きらん!隙あり!」
「うおっ!?」



クロムが無防備に背中を向けた瞬間、飛びかかり抱き締める。



「またお前は…」
「ふふふ。後ろから拘束されては手も足も出まい」
「何なんだ」





諦めたのかそのまま抱き締められるクロムの足の間に、冷たい僕の足を挟んで暖を取る。





「僕が冷たい分、クロムの体温を更に感じられるから気持ちいいねー…」
「あまり身体冷やすなよ」
「うん。おやすみ…」





暖かいクロムの体温を感じながら、吸い込まれるように眠りに落ちる。
じわりじわりとぬるくなっていく僕の手足はまるで溶けているようだと錯覚する。




明日、僕が先に目を覚ましたら、また冷たくなった手足をクロムにくっつけよう。

冷たいと文句を言うクロムとじゃれ合って、会議に少しだけ遅刻するのだ。








▽▽▽
久しぶりに誰も傷つかず、誰もおかしくない物を書いた!ようやく!

個人的には冷え性あるあるだと思うのですがどうでしょう。
父親のお腹とかに足突っ込んで暖をとります。親不孝者や…!




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