他人に無関心で、冷たい。
かと思えば、頼まれればニコニコとそれを引き受けたり…。


ヘンリーという男は、私には理解出来ない存在だ。














期待




















「どういうつもり…?」
「あ、サーリャ。どうしたの、急に」
「今日のあの村での戦闘の事よ」





今日、屍兵に襲われた村を助けに入った。
それなのにこの男は、目の前で襲われる村人を見殺しにした。



別に、それを責めるつもりは無い。
ただ、この男が別の村人を助けているのを目撃したのだ。


それが何故なのか気になった。それだけの事。



その事を尋ねると返って来たのは意外な答えだった。

















「あー。あれねー。だって、助けてって言われなかったからー」












確かにあの村人は助けてなんて言っていなかった。
そんな余裕なんか無かっただけだと思うけれど。



しかし、そんなたった一言で助けたり助けなかったり。
優しいのか冷たいのか…。



やはりこの男は分からない。



























何故今、私はそんな事を思い出しているの。


きっと今があの見殺しにされた村人と同じ状況だからか。
もし、大声であの男の名前を呼んで、助けてと叫べば、助けに来てくれるだろうか。





そんな事を考えて、小さく頭を振る。





下らないわ…。







魔導書を握り直して敵を見据える。
三体の屍兵に囲まれて、逃げるのはほぼ無理だ。


とはいえ、下手に攻撃しても、無駄だろう。



ふと、遠くから私を呼ぶ声がしたような気がした。
一瞬、そこへ意識が向く。




その隙をついて、一体の屍兵が私に襲いかかる。




「あっ…」





その攻撃をつい分厚い魔導書で受けてしまい、それが弾き飛ばされてしまった。





武器を飛ばされ、なす術のない私の諦めは早かった。
許されるならルフレにもう一度会いたかったけれど。








「せめて楽に殺してちょうだい…」
「サーリャ!」







次は間違いなく聞こえた。
自分を呼ぶ誰かの声。



その声のする方を向こうとする前に、背後から強力な魔力で放たれた魔法と、目の前で今まさに私を殺そうと武器を振り上げていた屍兵が燃え尽きる姿が目に入った。





二体目、三体目と同じように燃え尽きて、思わずそれを呆然と見守ってしまう。



どうなっているの、これは。






「………どういうつもり…?」
「こっちの台詞だよー、サーリャ」



いつもの笑ったような細い目ではあるけれど、何故か怒っているように思える。





「バカみたいに一人で前へ前へ走っていくからさー。何かに操られてるのかと思ったよー。バカみたいにー」
「何故二度もバカって言ったの」
「実際バカじゃないー。さっき武器を飛ばされて、さっさと諦めたでしょー?」
「うるさいわね…」





ぶーぶーと文句を言いながら落ちた魔導書を拾い上げて、渡してくれる。
それを受け取ると、ようやくこの男は笑った。







「怪我もなくて良かったー」
「…………どうして助けたの。私は助けに来てなんて頼んでないわ…」





この男は確かに言った。

「頼まれなかったから助けなかった」と。



私は助けてなんて頼まなかった。

だから、来る筈ないと思っていたのに。







すると、この男はさも当然だというような顔をして、こう言った。




























「サーリャが好きだからだよ」
「…………何を言ってるの」
「だから、サーリャが好きだ…」
「呪うわよ……」






二度も同じ言葉を言おうとするのを、睨み付けると、「聞かれたから答えただけなのに」と、首を傾げた。


















数秒間沈黙した後。




















「…もしかして、サーリャ照れてる?」
「…っ!」
「あははー。可愛いな、サーリャ」








そう言って笑う、このヘンリーという男はやはり、私には理解出来ない。



























「あと、ルフレはやっぱり大好きだしー、クロムとー、リヒトも好きだなー」
「…っ!?」
「あ、残念がってるー。一番好きなのはサーリャだよー」
「誰が残念がってるのよ…っ!」
















▽▽▽
サーリャもヘンリーも喋り方分かんなくて困りました。
似非サーリャとヘンリーになってますが、まぁいいか。

この二人めちゃくちゃ好きなのに、この話が全く上手くいかなかったので、残念です。
なんかなー、やっぱ文章力ねーなぁ。






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