僕はね、クロム。
君さえいればそれでいいんだ。


それだけしかいらない。他にいらない。



















何も、いらない。














僕の守りたいもの
















ようやく、今回の戦いも終わった。
今回は大変だった。
敵の数と、入り組んだ地形。

うちから一人の犠牲も出なかったのが、不思議なくらいだ。
思わず安堵のため息を吐いて、空を見上げる。

山道を抜けた高台は見晴らしがすごく良い。
ここは僕のお気に入りの場所だった。




「ここにいたのか」
「クロム」





背後から急に声を掛けられるけど驚きもしない。
ここはクロムのお気に入りの場所でもあるから。


いつものように側に座って、二人で空を見上げる。
もう日も沈みかけて、下に見える村は茜色に染まっていた。





「あの村を救えたのはお前のお陰だ」
「ううん。みんなの力だよ。僕はいつも君達に助けてもらってる」
「謙遜するな。お前が来てからどれだけイーリスの民が救われていると思っている」



嬉しそうに笑うクロムを見て、僕も嬉しくなる。
当然だ。その表情を見る為に僕は今までやってきたんだから。





「お前がいてくれて、本当に良かった」







クロムの言葉に素直に喜ぶ。








「これからも、イーリスを導いてくれ」
















その言葉に笑いかける。
イーリスを導いていくのは君の役目じゃないかと。
僕は君を力の限り支えていくただの軍師だよと。


それにクロムも笑う。








確かに僕たちは笑い合っていた。

















ごめんね、クロム。
僕はどうでもいいんだ、イーリスなんて。






イーリスを守ると君が喜ぶから。
仲間を守ると君が喜ぶから。




そう、君が喜ぶからそうしているだけ。











君を命がけで守るフレデリクとも違う。
彼はきっとイーリスも命がけで守るから。



僕は君を、君だけを守るよ。





















▽▽▽
とは言っても、余裕があればそこらの村人も助けますよ、さすがに。
クロムと他の何かが天秤にかかればクロムを選ぶだけで。
なんつーか、自分の中のイメージのヘンリーと丸被りしちゃったけど、まぁいいよね。




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