アジトにて。
「暇だ…」
欠伸混じりにそう呟いたのは飛段。
自室のベッドに俯せて、いかにも暇だという雰囲気を醸し出している。
飛段が暇をしている理由。
それは相棒の角都が単独任務で朝からアジトを出て行ってしまったからだ。
しかも角都はご丁寧な事に、自分が単独任務に行くと知った飛段が朝から騒がないようにと、事実を知らせず…しかも飛段に顔を見せず行ってしまったのだ。
…あくまで、飛段と他の暁のメンバーを考えての行為である。
とは言え、角都命の飛段がその理由で「はぁ、そうなのか」と納得するわけもない。
当然激昂した飛段は、既に角都に単独任務を言い渡した張本人であるペインを一発殴り済みだ(八つ当たり)。
そんなわけで、飛段はペインを殴ってからずっと部屋に閉じこもり、所謂いじけているわけなのだが、元来一人でいる事の苦手な彼が角都が帰ってくるまで、つまり一日中一人で部屋の中にいるというのはほぼ不可能な話しであって。
「…出よ」
そう一言。
部屋を出たのだった。
「おいデイダラ、重いんだよ」
「旦那のケチ。ちょっとくらい良いだろ、うん」
一方、サソリの部屋では。
デイダラが傀儡のメンテナンス中だったサソリの隣へやって来ていた。
…と、そこまでは良かったのだが。
メンテナンスに夢中のサソリを暫くじっと見つめていたデイダラは、意味深な笑みを浮かべ、今度はサソリの膝に頭を乗せる形で寝転んだ。
膝枕、というやつである。
「旦那の膝、硬いぞ…うん」
「そりゃ失敬。そう思うならさっさとどきやがれ」
メンテナンスの邪魔だと顔をしかめてぐちぐちと文句を言うサソリ。それでも無理矢理デイダラを退かそうとしない所に、彼はサソリの愛情を感じていた。
「旦那ぁ、そんな夢中でメンテナンスしなくたって傀儡は逃げないよ?うん」
「………」
「その点オイラはすぐ逃げちゃうけどなー!」
そう言って悪戯っぽくはにかむデイダラを見て、サソリは小さな溜め息を一つ。そしてメンテナンスをする手を止めた。
漸く二人の時間が始まる…!!
というデイダラの思いは、次なる障害によって打ち砕かれる。
「デイダラちゃーん!!」
バーン!!と扉を勢い良く開けて突然乱入して来たのは、そう。先程まで暇を持て余していた飛段である。
暁の中で、角都の次によく話すのがデイダラだから今回もかまって貰おうと思ったらしい。
間が悪いにも程がある。
「飛段…ノックぐらいしやがれ」
残念な事に、せっかくデイダラに向けられていたサソリの視線は突然の来訪者へと。
せっかくのムードをぶち壊されてしまったデイダラはこめかみをひくつかせた。
「飛段…お前なんでここに?ここ旦那の部屋だぜ…うん」
「デイダラちゃんが自分の部屋にいないときはぜってぇここにいるだろーが」
という事は自分の部屋も見て来たのか…。
「つーかナニ?それ膝枕ぁ?相変わらず熱いね〜」
「チッ、コイツが無理矢理やってきたんだよ」
「飛段も角都にやって貰いに行ってこいよ…うん」
すると飛段は後者の言葉にあからさまに反応した。
みるみる膨れっ面になっていく飛段を見て、デイダラはこう思った。
嗚呼、地雷踏んじまった。と。
結局、デイダラとサソリは飛段の愚痴を聞かされる事になったわけだが。
始めは適当に相槌していたサソリは(とは言え話しは殆ど聞いていなかったのだろうが)、途中からゆっくりと中断していた傀儡のメンテナンスを再開してしまったので、実質話しを聞いていたのはデイダラだけだった。
しかし、彼は彼で…
(ちくしょー!!旦那との時間があー!!!!飛段の馬鹿…いや、そもそも角都だけに任務行かせるリーダーが悪いんだ!!リーダーの馬鹿ーーっ!!!!)
話しを聞きながら、こんな事を考えていた。
ちなみに、飛段がサソリの部屋を出たのはそれから数時間後。
いじけて朝食を食べずに部屋にこもってしまった飛段を心配していた鬼鮫が、彼に昼食をとるよう促したからである。
漸く部屋に安息が訪れた。
「旦那ぁ…オイラ疲れたよ…うん」
「寝ろ」
するとサソリはデイダラの髷を引っ張って自らの膝へと彼の頭を乗せた。
そんな予想外の展開に、デイダラは一瞬驚いたのだが…
「やっぱり硬いな、うん」
「落とすぞコラ」
結果オーライという事で。
END
○○○○○
相互記念も兼ねてました
焔様相互感謝します!
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