5歳の時から知ってて、一緒にお風呂も入って、まるで我が子みたいに育てて、だけど本当は俺が殺した人の息子で、その事実を隠しながらとうとう12年の月日が流れたわけで。これだけでもうかなり可笑しい人であることには違いないよね。危ない人、って噂話には珍しく事実のレッテルを貼られちゃう。俺の素性を知った他の人達はきっと俺からこの子を引き離すだろうな。あ、その前に逮捕か。はたちの独身男が11歳の子供を養子に貰うとこうなるんだよ。なんでだろうね、あの時、この子を守りたいってゆう気持ちに嘘は無かったのに。克哉、俺は気持ち悪いんだよ。いけないんだよ。小さい体で無理して荷物を持つようなそんなにいい子にならないでよ。俺、父親だと思っちゃうじゃんか。本当は我が子の使ったコップを見てどきどきするくらい。そこに口を付けてしまいたくなるくらい。それくらい俺は最低なのに。母親を奪った罪悪感に潰れてしまうのが普通なんだとしたら、克哉への如何わしい気持ちの方が勝っている俺はもう言い逃れ出来ないね。いくら小さな芽を出したところで水をやらなければ枯れると思ってた。この子を好きになって、いつかは離れていくこの子を離したくないと思うようになって、一生を懸けて償えって言うのかな。克哉は優しいから、だから俺が克哉を育ててしまったことをこれで許してやるって、そういうことなのかも。軽々と買い物袋を持った我が子は今日も隣を歩きます。愛してしまってごめんなさい。

20110806
エンドゲームの克哉と透。