※光謙前提

俺ってさぁ、めっちゃ優しいと思う。いきなり何ぬかしとんねんって感じやけどもやな、こればかりは自惚れてもええと思うねん。本間そのレベル。やって、好きな相手が彼氏と上手くいってないって時につけこむどころか手助けするって、なんやここまで来ると俺ってお人好しやったんかと新たな自分を発見してしまうわ。チャンス見逃すアホとちゃうで、人の弱味につけこむなんて卑怯な行為が出来ひんだけの心優しいユウくんやで。

「何の用っスか、先輩」
「お前こそ何しとんねん」
「見た通り教室移動です」
「さよか」
「・・・用無いんやったら行きますよ」
「まぁ待てや、お前昨日大変やったやろー」
「何がっスか」
「腰痛いんちゃう?あいつ何回も欲しがるで」
「は?」
「謙也も今頃痛い痛いって泣いとるかもなぁ」
「それどうゆう、」
「あ、すまんこっちの話や」
「ち、ちょっと!」

面倒臭い事になる前にさっさと退散しとこ。あ、謙也にメールすんの忘れてた。危ない危ない、後輩に嫌われる覚悟までした俺の努力が水の泡になるところやった。明日、どんな顔して謙也は学校へ来んのやろな。俺の予想ではめっちゃ笑顔でそれこそ幸せ真っ最中といわんばかりのオーラを振り撒いてるはずや。人の痛みを知らんかのような毒舌生意気後輩やって、下ネタ混じりに恋人の話をされてなんとも思わんほど機械みたいな男とちゃうやろ。けど泣きながら俺のところへ来んのも悪くないと思った。悲しんでたらそのままいつもの様にヤろうって誘って来るやろうし、もし仮に怒ってたとしても俺が財前に直接誤解を晴らしに行ったらええ話や。財前には嫌われるけどな。いや、頭の切れるあいつの事やで余計なお節介っスわ、とか冷めた顔で言うて来るかもしれん。本間に嫌味な奴やな。まぁどっちにしても俺はヒーローや。謙也が笑顔になるんやったらどんな事でもしたる、ってまるで人間の鏡みたい。俺はどこまでも自惚れてやる。

20110721
これでまた頼ってもらえるんやったら安いもんやど的な。