謙也さんの体を使って気持ち良くなる。同時に謙也さんも気持ち良くなる。それがどういうことかセックスをする度に考える。子供も産めない体でただただお互いが欲しいだけのそんな浅はかな理由で体を重ねて、産まれるものは快感だけ。形も次に受け継がれるものもなにも無い。なのに欲しがってしまうのは何故だろう。目にも見えないものに何度もすがってしまうのは何故だろう。そこに謙也さんが好きだという理由以外あるだろうか。

「…ぁ…んん…っ、ぁあっ」
「ちゃんと、声聞かして」

熱い熱い謙也さんの中に突っ込んで無我夢中に腰を振る。肌のぶつかる音が、この行為は合意の元だと証明しているみたいで嬉しい。俺達は愛し合ってる、その事実だけで頭を埋め尽くそうと、気遣う素振りもせずに揺さぶった。誰かに覗かれてたらどうしよう。彼は嫌がるだろうけど、俺はそれでもいい。好きな人の体を見られたくないなんてこの際言わない。俺が今感じているこの幸せを顔も知らないような見ず知らずの人間に見せ付けてやりたい。謙也さんと俺はこんねんも愛し合ってるんやで、って人目も気にせずキスしたい。世界中の人が取り囲む中心愛を誓って、あわよくば世界中の人に俺達の幸せを知ってもらいたい。馬鹿だと言われてもいい、謙也さんが好きすぎて馬鹿になったならそれすら幸せだと思える。一生幸せボケをしていたい。

「もっ、あかん、イク…!」
「もっと声出して…せやないと、聞こえへん」
「な、にが、やあっ、ん…っ!!」

羨ましがられて、挙げ句の果てには妬まれてしまおうか。嫉妬される程愛し合ったってどうせこの想いは尽きないんだから。俺は謙也さんが好きだと、ただただそれだけを叫ばせて。もう自分が知ってるだけじゃ足りないんだよ。イク直前に謙也さんの口を塞げは、根拠も無いのに何故かこの気持ちが伝わるような気がした。俺はセックスをする度に考える。そこには確かに愛がある。

20110808