※最後一瞬下ネタ。


最近自分が良く分からない。

「軍人くんから離れろ!」
「うっせぇ引っ込んでろ」
「困ってんだろ軍人くんが!」
「困ってんじゃねぇよ、これは照れてるっつうの。なぁ、軍人」
「え、いや、僕は・・・」
「それに俺は今から飯食うんだよ、軍人手作りの。お前は冷えた飯でも食ってろ。あ、パンか」
「お前・・・っ!!」
「じゃあな〜」

軍人くんの肩を抱いた覚醒が、ひらひらと手を振りながら歩いて行く。最近俺はおかしい。

「軍人くん・・・」
「またフラれたのかお前」
「あ、大工。て言うかフラれたってなんだ」
「フラれたじゃん」
「だから何が」
「お前好きなの?フリッピーちゃんが」
「は、好き?しかも変な呼び方するな」
「軍人は落ちないぞ〜、きっと」
「だからそうゆう意味じゃない、って何回も言ってるだろ」
「は?初めてだけど」
「え?あ、前は覚醒に言われたんだ」

最近心が変だ。

「あ、これ軍人くんが好きそうだ」
「やっぱ緑の方がいいかな」
「チョコップクッキーが食べたい」
「このネックレス、軍人くんがしてるドッグタグに似てる。て言うか軍人くんは何で今もドッグタグをしてるんだ?」

最近自分が良く分からない。何が良く分からないって、自分の事じゃない。俺が強くて誰にでも優しくてこの町を守るヒーローだとゆう事は重々承知しているのだけど、今言ってるのは軍人くんに対してだ。あ、軍人くんの事もよく分かってるよ。あの人は優しくて、俺より背が高くて歳も上なのに何故か守ってやらなくちゃって思ってしまう凄く可愛い人。お人好しだから悪い奴に捕まらないか心配になる。ついでに付け加えるなら料理が上手くてお菓子作りは彼の趣味だ。まだまだあるけど止まらないからやめておく。兎に角、彼は"守ってやらなければ"と思わせる不思議なパワーを持っている。俺が英雄と呼ばれる立場にいてもいなくてもだ。そして、軍人くんに対してこんな気持ちを持ってしまう事が始めにも話したように俺が今一番困っている事であり、今一番の悩み。俺が分からないのは、俺の気持ち。正直、今まで誰かを可愛いなぁ、と感じる事はあっても好きになった事なんてなかった。ましてや男だ。俺より背は高いし歳も上、細いから力は俺が勝っているけど、やっぱりあの身長であの筋肉の無さは駄目だろう、健康的にも。覚醒と一緒に居るから更に思う。そう、そしてもう一つ気にかかるのがこれだ。軍人が覚醒といつも一緒に居るとゆう事。確かに、二人は一緒に住んでいるのだから普通より顔を会わせる時間が長いのは仕方無い。けどあいつはいつでも居る。俺が軍人くんに会いに行っても必ず出てくるし、居なくても途中から乱入してくる。大工はあまり気にしてなさそうだけど、俺としては軍人くんに会いに行ってるんだから軍人くんと話がしたい。それをあいつはいつも隣から割り込んで茶々を入れたあげく、酷い時は今日みたいに軍人くんをかっ拐っていく。それで付いて行く軍人くんも軍人くんだ。やっぱり同棲してる人間には勝てないのかな。いや違う、あれは同棲ではなくただ一緒に住んでるだけだ。なんなら覚醒が勝手に住み着いていると言ってもいい。俺にとって覚醒はそんな存在。そりゃあいつは強いさ、戦場で戦ってきたんだ、体だって鍛えてあるしあの堂々とした立ち振舞い。常に余裕をこいている。俺はただの自信過剰だと思ってるけど。と言ってもやっぱり引き分けになるばっかりで勝った事は無い。まぁ、負けた事も無いけどね。軍人くんは、強い男の方がいいのかな。

「お前好きなの?軍人が」

大工が言っていた事をふと思い出す。フリッピーちゃんなんて呼び方が気に食わないから脳内変換してやった。そういえば俺、覚醒にも言われたな、お前にはやんねぇぞ、って。最初何の事なのか訳が分からなかったけど、こうゆう事か。そうかそうか、覚醒は俺より前に俺が軍人くんを好きだとゆう事に気付いてたのか。流石覚醒、勘が鋭い。
ってちょっと待て、それじゃまるで俺が軍人くんを好きだと認めたみたいじゃないか。それは無い無い無い、絶対無い。だって俺はヒーローだぞ、この町の平和を守るヒーローだぞ。そんな俺がいち市民を特別扱いするなんて事あってはならない。確かに軍人くんは好きだけど、可愛いけども。いや、駄目だ。幸せはみんなに平等に降り注ぐんだ。だからこんな事思っちゃ駄目だ。けど、もし軍人くんと付き合ったら、そりゃ恋人なんだからそれらしい行為もするんだよな。手を繋いで、キスをして。男同士だと思うと気持ち悪いけど、軍人くんだと思うとそうでもないかも。そしたら、じゃあ、えっちも・・・。

「あ、やばい・・・、起った。」

こんばんは、軍人くん。今夜初めて貴方をおかずにしました。

20110422