一周年企画小説(葉月様から!)

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巡る二人と夜空
雲骸



『今日の夜は空にたくさんの星が綺麗に見えるそうなんです。
雲雀君、一緒に星を見ませんか!』

携帯電話越しに聞こえたその声は骸のものだ。

「良いけど、どこで見るの?」

並盛中の応接室で仕事をしていた雲雀の手には 片方に鉛筆、もう片方に携帯電話を持っていた。

鉛筆を走らせながら、携帯から
聞こえてくる骸の声に耳を傾ける

『並盛中の屋上です!』










―――――――――――――――


その夜。

応接室から屋上へとやって来た
雲雀は、まだ骸が来ていない事を確認してから屋上の床に腰を下ろした。
空を見上げてみると、電話で骸が言っていた通り、夜空には星が無数に浮かんでいる。

確かにいつも見る夜空よりは綺麗な気がした。

「雲雀君、お待たせしました!」

屋上へと続く扉から出てきたのは骸だった。
走ってきたのか少しだけ息が荒い

「遅いよ。早くこっちに来て」

首だけを骸に向けていた雲雀が
自分の隣りに来るように、手で床を軽く叩く。骸はそれに素直に従い、雲雀の右隣りに座った。

「綺麗ですね…。晴れて本当に良かったです」

夜空に浮かぶ星達はそれぞれに光を放っている。

雲雀はそっと、夜空を見上げる骸の横顔を盗み見た。
骸の色違いの両目の青い方しか
見えなかったが、その瞳の中に
星々が写り込んでいて、より一層瞳が輝いて見える。

「ねぇ、どうして星を見ようなんて言ったの?」

「満天の星空を雲雀君と見たかったからですよ」

骸の横顔を見つめる雲雀に対して骸は夜空を見上げるばかり。

「じゃあ、どうして此処で見ようなんて言ったんだい?」

「…二人っきりになりたかったから…って言ったらおかしいですか?」

夜空からようやく瞳を離した骸は真っ直ぐに雲雀を見つめ返した。
どこか儚くも見えるそんな表情。

「何かあったの」

「……いいえ」

「嘘が下手だね」

「! 雲雀君には適いませんね」

雲雀の言葉に少し驚いた骸だったが、すぐにホッとしたような微笑みを見せた。
かと思うと、骸の顔はまた夜空を見上げ直す。

「星を見るのは昔から割と好きな方でした。嫌なものが何も見えない。でもそれと同時に、変なことを考えてしまって」

「変なことって何」

「僕はまた巡るのか、と」

輪廻なんて話は信じる者もいれば信じない者もいる。
しかし骸にとって、輪廻を巡るというのは真実だ。

実際に巡ったという話は雲雀も
聞いていた。
聞いていただけだが。

「なんだ、そんなこと」

「そんなことって何ですか!!
僕は真剣なんですよ!!」

再度雲雀の方を見た骸は形の良い唇を尖らせて、少しばかり眉間にしわを寄せている。
雲雀はそんな骸の眉間を人差し指でグイッと押した。

「クハッ!」

「眉間にしわ、出来るよ」

骸は腑に落ちないような顔をしつつも黙り込んだ。

「巡るから、何?」

「え?」

「巡ることが本当なら、君だけ
じゃない。僕も、草食動物達も、いつかは巡るんだろ。君が巡ってきたように」

雲雀がどこまで知ってるかなんて骸には分からない。
しかしそれでも、雲雀の言葉には何か納得してしまう部分もあった

「それが今関係あるのかい?
今こうして生きていることに関係が」

「関係、ですか…」

「見つからないでしょ。だからそんなこと考える必要なんてない。僕の隣りにずっといれば良い。
君と僕が巡っても、ずっと」

「雲雀…君、」

「離さないよ」

呆然とする骸の腕を引けばその体は簡単に傾いて、骸の左肩と雲雀の右肩がぶつかる。

「僕を置いて先に巡るなんて許さないから」

雲雀は腕を回して骸を抱き寄せた

「雲雀君、ちょっと痛いです」

「うるさい。骸が変なこと言うからだよ」

苦笑する骸は雲雀に抱き寄せられたまま、じっとしている。

「僕らが巡るときは、この綺麗な夜空も巡るんでしょうか」

「巡った先で僕がもっと綺麗なものを見せてあげる」










 星達に見守られるようにして
  二人の夜は過ぎていった。










「巡る時も、一緒ですよね」

「一緒だよ。決まってるでしょ。それから、そういうこと考えるの禁止」

「クフフ…、分かりました」











Fin
―――――――――――――――



クッハクッハクッハ//
何々この完成度Σ胸きゅんが止まらねー←←←
末永くお幸せに…って言葉が適切ですかね^^やっぱりこの二人が一番だな♪
素敵小説有り難う御座いました!いつかは巡る、巡っても尚翔は骸を愛し続ける事を誓います++葉月チャンも大好きだよ〜><//



2012/04/02 00:12

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