甘い香りに誘われて、ジュードはキッチンにやってきた。
そこには、雑誌か何かと睨めっこをするアスベルがいた。
「アスベル、どうしたの?」
「あ、ジュード」
ジュードを見たアスベルは、悪戯が見つかった子どものように、困ったように笑っている。
調理台には雑誌だけでなく、チョコやら何やらが散らばっている。
「もしかして、バレンタインチョコを作ろうとしてたの?」
「そう、なんだけど…ジュードみたいには、上手く作れないな」
料理上手なジュードが羨ましいと、アスベルは眉を下げて笑う。
しかし、アスベルは料理が下手というわけではなく、どちらかと言えば上手な方だとは思う。
ただ、お菓子作りは滅多にしないため、要領よく進められないだけなのだ。
「僕も一緒に作っていい?」
「いいのか?」
「うん。アルヴィンに作ってあげようかなって思って」
「そうか。じゃあ、一緒に作ろう、ジュード」
「うん!」
ジュードと一緒に作れるなら、アスベルも嬉しい。
にこにこと笑顔を浮かべて頷いたアスベルに、ジュードも嬉しそうな笑顔で応えた。
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