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「……っ」
 包帯の上から痛む箇所を押さえ、◆は部屋へと向かった。――口止めは大丈夫だろう。
 これでもかと云うくらい慎重に、静かに静かにドアの鍵を回し、そおっと部屋へと入ると、未だにエースはソファの上で気持ち良さそうに寝ていた。
 少しホッとして、そのままバスルームへ向かう。
 傷の手当は応急処置だった為、もう一度しっかりと消毒して包帯を巻き、傷を庇いながらシャワーを浴びる。しみるなんてレベルではないが、やはり髪も体も綺麗にしたかった。それから服を着て、包帯が見えないかどうか鏡の前で調べ、やっとバスルームを出た。
「おう、◆! おはよう!」
「――ッッッ!!!??」
 驚きで、ドアに肩と肘を思い切りぶつけ、◆は色んな悲鳴を上げながらうずくまった。
「お、おい、◆!? 大丈夫か!? ごめんな、驚かしちまったか」
 ごめんごめん、とエースは屈み、◆の様子を窺う。
(何で、起きてんの……っ!?)
 心臓の拍動が酷い慌てようである。◆はズキズキと痛む肩に手を当てつつ、俯いたまま口を開いた。
「いつ、起きた、の……」
「ん? ああ、シャワーの音が聞こえてきたから何か起きちまった。でも随分長かったな、顔色悪ィけどのぼせちまったんじゃねェのか?」
 エースが◆の頬に手を当て、顔を上げさせる。
「だいじょ、ぶ……別に……」
 そう云って目を背ける。
「今、何時……?」
「ええと、六時くれェかな? いやァ、おれにしちゃァ早起きだ!」
 ハハハと笑いつつ、エースは◆を立たせようと、腕を掴んだ。
「いっ――!」
 ◆はしまった、と唇を噛んだ。またやってしまった――けれど、不意打ちでは堪える事も出来なかった。
「うえっ!? ごごっ、ごめんな!! そんな強く掴んだつもりは無ェんだが……そういやこんな事、前の島でもあったな……? あん時の、まだ治ってねェのか?」
 首を傾げながらそっと腕に触れようとするエースに◆は、
「触らないで!!」
 と声を上げた。
「……、オイ……?」
 ◆は脂汗を額に感じながら、素早く立ち上がる。
「◆……?」
 唖然としているエースを無視し、部屋を横切ってソファへ腰掛ける。テーブルに残っている酒を手に取り、グラスへ注いでいると、エースがその向かいに座った。
「なァ……」
 酒が注がれたグラスを渡され、エースはおもむろに受け取る。

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