06
 見れば、数人の男達が何やら騒がしい。
 不審に思い、腰を上げて近付いてみると、男達は一人の女を取り囲んでいるようだった。
「だから……そこを通して下さい。急いでるんだから」
 ドレークの位置からは、大柄な男達の影で、女の姿がチラチラと見えた。そして、彼らに絡まれているのは声を聞けば分かる事だった。
「へっへっへ……急いでるところ申し訳無ェんだが、おれ達に少ーし付き合ってくれねェかなァ」
 聞く耳を持たないのか男たちはニヤニヤ笑いながら女に近寄っていく。武器を下げているところからしても、ゴロツキであるようだ。
 ドレークは溜息を吐いた。
「私、人を探してるの。その人はもうこの島を出ちゃうかもしれない……だからアナタ達に付き合ってる暇は無いんです。そこを通して!」
 女は男たちの間を無理矢理通ろうとするが、一人の男に腕を掴まれてしまった。
「ちょっと、放してよ!」
「放すわけにはいかねェなァ? こんな美人は、娼館かヒューマンショップに売り飛ばすに限る」
「いや、その前におれ達で戴いちまおうぜ」
 下品な笑いが上がると女は顔をしかめた。
「放してくれないなら……!」
「おい、何をしている」
「――!」
 男達はその声に振り向き、目を剥く。
「ッあ――“赤旗”ァ!?」
「ほォ……おれを知っているのか」
 ドレークは感心したように頷くと、男の影に隠れていて見えなかった女に目をやる。
 男達と同じように、目を見開いて自分を見ている女はとても端整な顔立ちをしていた――こんな状況にも関わらず、一瞬にしてドレークは目を奪われてしまった。
「……X・ドレーク……!?」
 女の顔がパァッと輝いたかと思うと、ドレークに気を取られていた男の手から素早く逃れる。
 そして何故か、ドレークはその女に勢い良く抱き付かれてしまった。
「お、おい……!?」
 突然の事にうろたえるドレークだったが、どうせ助けようと思ったのだし手間が省けたかと、その女の肩を抱き、男達を見据えた。
「まだ手出しするようなら、相手になってもいいが?」
 ドレークが脇に下げた得物に手をやると、男達は一気に青ざめる。そして、次の言葉を発す前には一目散に逃げて行ってしまった。
「――腰抜けだな」
 呆れて溜め息を吐くと、ドレークは自分に抱き付いている女に声をかけた。
「もう奴らは行ったぞ」
 しかし女は離れずに自分の胸に顔を埋めているので、またしてもドレークはうろたえてしまう。

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