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「六式使いを相手に負けるつもりは無いが、易々と出来る相手でもない……おれが食い止めている間に逃げろ、◆」
「そんな――嫌です!!」
 ◆は首を振ったが、後ろの方でざわざわと何かが這う音が聞こえ、急いで振り向く。
「あ“生命帰還”!! “髪縛り”ィィ!!!」
「◆!!」
 クマドリの髪が◆を捕えようとうねる。が、◆はドレークに突き飛ばされ、その難は免れた。
「ドレーク船長ッ!!」
「く……!」
 しかし、代わりにドレークは薄桃色の髪に縛りつけられ、身動きが取れない。拘束の力が苦しいのか、持っていた得物が地面に落ちた。
 ◆は素早く腰のダガーを抜き、軽やかに地面を蹴ると、ドレークを捕えている髪に向かって小さな得物を思い切り振った。音を立てて締め付けていた髪が斬られるとその力は失われ、ハラハラと落ちていく。
「船長ッ! 大丈夫っ!?」
「……ッ、ああ……!」
 すまない、と落ちた武器を拾いながらドレークは苦々しい表情を浮かべた。
「お前を戦わせたくなかったが……どうやらここから逃がすのは難しそうだな」
 CP9を相手に隙を作るのは至難の業だ、と◆を見る。
「構いません、ドレーク船長と一緒に戦います!」
「よよい!! あ大したモンよォ〜おいらの“髪縛り”を一刀両断にィ〜あするたァ〜ただの物書きじゃァねねねね無ェ〜!!」
 二人して構えた姿に、空中に居たカリファがクスッと笑う。
「その勇ましさもどこまで保つかしらね……?」
 見物だわ、と云うと、その長い足を勢い良く蹴り上げた。
「“嵐脚”!!」
「――!!!」
 見晴らしの良い高台は激しい音と共に、瞬く間に戦場へとなっていった。



 数十分後、◆は痛む体を抑えながらフラフラと立っていた。
 かろうじて立つ◆の前には、CP9の四人、そして後ろにはドレークが深手を負って血だらけで倒れている。意識を失っているだけなのか――今はそれを確認する事も出来ない。
 ◆達は四人を相手に必死で応戦したが、超人的な体技は自分達の技を嘲笑うかのように避け、受け、跳ね返し、代わりに深い傷を残していった。
 更に、悪魔の実の能力を持ったルッチに対して、何故かドレークは“古代種”の能力を頑なに発揮する事はなかったのだ。
「……ハァッ、ハァ……ッ!」
 息は途切れつつ、目の前は霞む。しかし、自分を守りながら戦ってくれたドレークの為にも、ここで倒れるわけにはいかない。
「“赤旗”は殺す命を受けていないが、お前はどちらも問わない。もし今ここで死にたくなければ大人しく連行されるんだな」
 どちらにしろ死んで貰うんだが、と恐ろしい笑みを浮かべるルッチの言葉に、◆は唇を噛む。
「私は海賊なの……死ぬならちゃんと死にたい! あなた達みたいな、裏の組織の人間に存在を消すように殺されたくなんかない!」

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