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 海軍も政府下にある機関であり、そこの一員であった自分も警戒はしなければと思っていたが、油断していた――政府は“闇で揉み消す”のが得意だと云う事を忘れていた。
「ようやく殺しの許可が出たと云うわけじゃな」
 カクはキャップの鍔を弄ってから、腕を組んで不敵そうに笑う。
「“お前達”が出て来ると云う事は、表沙汰にさせたくないと云う政府の思惑が窺えるが」
 ドレークは腰元の得物に手を添えながら云った。
「ハハ、さすがは元海軍将校じゃな。その通り、今回はファンも付いている小説家が相手――真っ先に海軍が消しに行っては、◆の著書が政府を脅かしていると云っている様なものだからのう」
 すると、黙って聞いていた◆がドレークの一歩前に出る。
「狙いは私だけなんでしょう? ドレーク船長は関係無いはず」
「◆ッ」
 ドレークが思わず名前を呼ぶと、代わりにカンカン! と云う音が響く。
「そうはァ〜いかねェ〜!! あ、お前がァ関係した〜すべすべ全ての、あ全ての人間にィ〜つつっ罪がァ、あ罪ァ〜ああ〜る〜ッ! よよい!!」
「フフ、本を読んだ人間も、本当は皆始末しなきゃなのよね」
 髪を掻き上げながらそう笑ったカリファに、◆は目を見開く。
「そん、な……!」
「お喋りはここまでだ、人が来ると面倒だ」
 そう云ったルッチに◆は身構え、ダガーに手をやるが、片腕をグイと引かれて、ドレークの後ろに下げられてしまう。
「ドレーク船長!」
「……こいつらは強い。◆の腕がいくらたつからと云って、敵う相手でもない……!」
 見ていれば分かる、とドレークは徐ろに得物を抜いた。
「おれ達の強さが分かるなら、大人しく連行された方が賢いと思うが……仕方あるまい」
 ルッチが云い終えた瞬間に、四名の姿が見えなくなる。
「“剃”!!」
「――!!?」
「“指銃”!!」
 ◆がルッチの姿を認めた時には、その指がドレークの片腕に突き刺さって見えた。
「ウッ……!」
 よろめいたドレークに目を見開く。
「ゆ、指が貫いた……!!?」
 そんな事ありえない――動揺しながらもドレークに駆け寄れば、細かい破裂音が聞こえ、ハッと頭上を見上げる。
「空中を……ッ!?」
 見れば、カクとカリファが何も無いところを蹴るようにして、空中に浮かんでいるのだ。
「超人体技・六式の使い手だ……っ」
 指に“撃たれた”腕を庇いながら、ドレークはゆっくり息を吐く。
「ッ、これが“CP9”……!」
 空中にカクとカリファ、少し離れたところにクマドリ、そしてすぐ傍に笑みをたたえたルッチ――そんな敵に囲まれた中で、◆はゾクリと身震いした。

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