10/07/04〜10/08/25
スモーカー
セブンティーン
「スモーカー准将、一昨日の海賊討伐の報告書です――お目通しを」
「……あァ」
グランドラインを進む軍艦の中、白く曇る部屋に入れば機嫌の悪そうな上司。こんな時には、さっさとサインを貰って何も云われない内にここを出るに限る。
「……いいんじゃねェか。上にFAXしとけ」
サインを書いたスモーカー准将が、私にペッと書類を寄こす。
「ありがとうございます。……では、失礼しま」
「オイ、待て」
そそくさとその場を去ろうとしたのに、何故か呼び止められてしまった。
「な、何か……?」
恐る恐る振り返れば、なんだかとっても恐いオーラを放つ人が――咥えた葉巻から燻る煙が更にそれを増長させる。
「――お前、幾つだ」
「え……17、ですが……」
突然の思いがけない質問に首を傾げる。若過ぎるからてめェは使えねェとか云い出すのだろうか――そう考えながら次の言葉を待っていると、何故だか准将は額に手を当てて溜め息を吐いた。
また、部屋が白くなる。
「ど、どうされたんですか?」
「……17歳差か……」
「?」
ブツブツと呟くスモーカー准将が気になって、俯き気味の顔を覗き込んでみる。
「具合でも悪いのですか? スモーカー准将」
すると、力強く両肩を掴まれるから、ビクリと揺らせてしまった。
「なァ――」
「は、はい……!?」
自分の目線に合うように屈んだスモーカー准将の顔が近い。恐いのに真剣な目つきに心臓がドキドキと鳴る。
「17歳差ってのァ……アリだと思うか?」
目の前に迫る准将は白い煙を吐きながら、微妙に切羽詰まった様子でそう云った。
「んな、なんの話です……?」
意味が分からなくて、でも胸は高鳴るし頬が熱い。それを察したのか、スモーカー准将は答えがもう分かっているかのように、ニヤリと悪戯に口角を上げる。
「お前より17歳も上のおれは、アリかって聞いてんだ」
「――っ!? ……あ、あの……あ、アリ…………です」
ドキマギとそう答えれば、准将は満足そうに笑って、それと共に昇る煙がご機嫌に舞った。
Fin.
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このタイトルを見た瞬間、ケムリン殿でこの話がパッと閃きました。反応も沢山頂き、私自身気に入っているので、このSSを元に連載でもしようかなァと考え中です。ケムリンの色気を上手く出せるかにかかりました。
拍手ありがとうございました!
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