ねむれ、ねむれ(スモーカー) (3/3)




 ――すー……すー……
 健やかな寝息をたてて眠る◆の横で、スモーカーがゆるく首を振った。
「ったく……本当に呑気な奴だな。おれだってアイツらと変わらねェ“オス”だってのによ」
 子供を寝かしつけるように動かしていた手を止め、◆の頬を指の甲でくすぐってみる。気持ち良さそうに柔らかい笑みを浮かべている寝顔は甘い菓子のごとく。
「コイツには危機感ってモンが欠如してんな」
 自分で誘っておいて本当に眠ってしまった◆に呆れつつ、それは自分の心を許してくれている証なのかもしれないと思うと、つい口角が上がる。
「まァ……それを“教える”のは今度にしといてやるか」
 スモーカーのくすぐりに「んん……」と小さな声を上げ、こちらに寝返りを打った◆を見つめつつ溜め息を吐く。
「おれも眠らねェとな……」
 そう呟き、スモーカーは仰向けになった。目を閉じ、深く息を吸う。
「…………」
 深く吐く。
「…………」
 しかし、一向に眠気が訪れない。
 しっかり疲労しているのに。しっかりリラックスしている筈なのに。
(惚れた女が隣に居ると、こうも眠れねェもんなのか……?)
 この歳でこんな事を思うだなんて笑えない――と云うか、眠れないのは非常事態だ。明日が辛い事が目に見えている。
(早まったな、おれァ……)
 片手で目を覆ったスモーカーは、今度は◆にやってやったように寝かしつけて欲しいと、らしくも無い事を悶々考え出すのだった。



 おまけEND.



 120702

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