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「“ワニ野郎”って云う人がサーの事だったらそうね、ふふっ。初めまして! ナセって云うの……やった、これでここに居る七武海の人全員に会えた!」
「――へェ? 鷹の目やくまにも会ったってェのか」
 何だか面白そうな娘だ、と含み笑いをしながら、ドフラミンゴは自室のドアを開けた。
「入んな、暇でブラブラしてたんだろ? どうせワニ野郎はセンゴクに捕まってるからよ、当分戻らねェ」
 自分のせいでそうなったのもあるのだが、それは云わないでおく。
「そうなの……じゃあ、お邪魔します、ドフラミンゴさん」
 ナセが少し落ち込んだ様子で部屋に入っていくのを見て、ドフラミンゴはニヤニヤ笑いながらドアを閉めた。
「七武海の会議って大変ね。サーと全然喋ってないもの」
 ポスン、とソファに座ったナセは、ワインボトルとグラスを持って歩いてくるドフラミンゴを見上げる。
「フッフッフ! そりゃお前、色んなお偉いサンとも話さなくちゃなんねェからなァ。特にワニ野郎なんかはクジ運が悪ィみてェだな、いつも引き止められてんぜ」
 ドフラミンゴはナセの隣にドカリと座り、グラスに鮮やかな赤ワインを注いだ。
「そっか……七武海のみんなが会議から帰って来るのに、サーが戻らないのはそう云う訳なのね」
「そーいうワケだ、お嬢ちゃん。ナセっつったか――フフッ、フッフッ……!! なるほど、お前がワニ野郎のねェ……フッフッフ!!」
 高らかに笑うドフラミンゴにナセは首を傾げるが、ほらよ、とグラスを差し出されて思わず受け取る。
「酒は飲めるか、ナセ」
「うーん、あんまり強くないけど」
 香りを楽しみながらも、グイグイと飲んでゆくドフラミンゴの姿を見て、ナセもグラスに口を付けた。
「……美味しい!」
 あまり酒には詳しくないが、とても飲みやすく上質な味わいに思わず呟く。
「好きなだけ飲めよ! フッフッフッフ! こんなところ、ワニ野郎が見たらさぞかしお怒りだろうなァ……!」
 ドフラミンゴはそう云いながら、ワインを愉しんでいるナセの肩に手を回すと、猫背を屈めて、ナセの顔を覗き込んだ。
「なあに? ドフラミンゴさん」
 キョトン、としているナセの顔は、どんな女も選び放題のドフラミンゴからしても、とても魅力的に映る。ニヤニヤと、口角が上がるのを抑えられない。
「フフ!! いや、なに……お前とワニ野郎の関係ってヤツを聞こうと思ってな」
「カンケイ?」
 ドフラミンゴはナセの肩に手を回したまま、片手でワインを注ぎ、それを今度は静かに飲む。
「あァ、どう云う関係だ? もうヤるべき事はヤってんのか?」
「やるべきこと?」
 眉間に皺を寄せたナセが“?”を沢山浮かべているのを見て、ドフラミンゴはまさか、といよいよ腹が捩れそうになった。
「“コト”は“イタシテ”んのかって聞いてんだよ」

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