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「ドーベルマンだ」
「あァ」
 クロコダイルが返事をすると、少しだけ緊張の解けたドーベルマンが顔を出した。
 七武海の一人をアラバスタから運んでいたのだから、この数週間は緊迫した空気の中で過ごしていたのだろう。海軍本部に着いてやっとひと安心と云うところだろうか。
 ソファを面倒臭そうに立ち上がり、クロコダイルはドアへ向かう。その後ろでこちらを窺うようにして見ているナセと目が合うと、ドーベルマンは恐い顔でニッコリ笑った。
「これからすぐに聖地・マリージョアへ向かうが、何も問題無いな?」
「あったらどうにかしてくれるのか? 何も無ェ」
 この航海中、二人は何度か話していたが、相変わらず仲は良くないんだなァとナセは思う。
「あちらには既に三名の七武海が待機しているそうだ。お前を入れて四名が召集に応じるとは珍しい事だな」
「ほォ……くまとアホ鳥と、あとは女帝でも来たか?」
 ナセは七武海の話を聞くには聞いていたが、どんな人達が居るのかは知らない。知っているのは名前だけなので、クロコダイルの話では何が何だか分からなかった。
「ボア・ハンコックは来ないだろう。驚いたぞ、鷹の目だ」
 その時、ガコンと云う大きな音と共に船が少し揺れた。出港らしい。
「鷹か、珍しい事もあるもんだな」
 クロコダイルは何度か召集を蹴った事があるらしいが、大体はきちんと応じているのだと、ナセは聞いていた。なので“鷹の目”と云う男が来るのが珍しいと云う事は、今までどれだけ会議に参加して来なかったのだろうか。
「センゴク元帥もひと安心だろう。王下七武海が四名揃えば、まともな会議が出来るだろうからな」
「さァ、どうだかな……あのジジィは七武海と云えど、おれ達海賊を忌み嫌ってるだろう。召集に一番に応じたくないのはヤツだったりしてなァ」
 クハハ、とクロコダイルは笑うが、ドーベルマンは話は終わりだとばかりにクルリと背を向けた。
「マリージョアと海軍本部は目と鼻の先だからな。すぐに下船出来るように準備しておくよう」
 そう云って、ドーベルマンは部屋を出て行った。
「ねえねえ、今回集まった七武海の人達って誰なの?」
 ナセの隣へ沈み込んだクロコダイルに尋ねる。
「……バーソロミュー・くま、ドンキホーテ・ドフラミンゴ、ジュラキュール・ミホーク、だな」
 この三人とは会って欲しくねェが、とクロコダイルは心の中で呟いた。

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