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「ふァ〜……眠―い」
 早朝、F−ワニに乗って、レインベースから港町・ナノハナへ向かったナセとクロコダイルは、昼前にナノハナに到着した。さすがに町中をワニで走る事は出来ない為、賑やかな通りを歩いて港へ向かう。
「さっきまでF−ワニの上で寝てたろうが」
 欠伸を繰り返すナセを呆れた様子で見下ろしながら、クロコダイルは葉巻の煙を吐いた。
 相変わらず“英雄”に対して民衆の声や視線は面倒だったが、今日から数週間はそんなアラバスタから離れ、バロック・ワークスの激務からも離れられる訳だ。少しの休暇とも云える航海を前に、クロコダイルはいつもより機嫌良くそれらに答えていた。
「だってあんな朝早くに起きたのは久しぶりだったんだもの。ふあ……姉さんも来れば良かったのに……」
 ナセはレインディナーズで見送ってくれたミス・オールサンデーを思い出しながら、また欠伸をした。
「あの女は政府の場所になんか来れねェさ……おれも七武海じゃなきゃァ近付けねェ場所だからな」
 クロコダイルの云い方は、まるでミス・オールサンデーが政府に追われる身だと云っているように聞こえたが、ナセは首を傾げつつも相槌を打つ。
「ふうん?」
 その様子を見て、クロコダイルはフン、と笑った。
「まァ、知らねェ方がいい事もある。気にするな」
「そう? ――あっ、軍艦が見える! アレでしょう?」
 ナセが指で示す先には、既に港で二人を待つ大きな軍艦があった。
 クロコダイルは、あァと頷く。
「凄い凄い! もしかしなくてもアレに乗るのね? 軍艦に乗るのなんて初めて!」
 そう云いながら船着場に駆けてゆくナセの後を、クロコダイルはゆっくりと歩く。子供のようにはしゃぐナセの様子に、口角を上げる表情はいつもより穏やかだったが、自分でそれに気付き、クロコダイルは顔をしかめて首を振った。
「王下“七武海”、サー・クロコダイル様ですね! お待ちしておりました!」
 港には海兵が並び、軍艦からはタラップが降りている。クロコダイルの姿に気付いた軍曹らしき海兵に敬礼される。
「あァ」
「えー、そして……そちらがご同行されるナセ様、で?」

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