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隣で機嫌良さそうに鼻歌を鳴らす男にFirst nameは苦笑しつつもどこか安心していた。


「First nameさん!First nameさん!俺、餡蜜食べたい!」

「じゃあ、甘栗甘にでも寄って帰ろうか」

「賛成!」


リツは甘党だ。だが、この外見に惑わされてはいけない。この男は敵と見なした者に対しては酷く無関心であり非情な男だ。味方で良かったと何度思ったことか。


「First nameさん!早く!」

「えー、無理ー。てか、リツ本当にご機嫌だね」

「だって」


First nameさんと一緒だから。


「……はいはい」


照れるぐらい甘い言葉。体に熱がこもる感じがした。


「First nameさん!」


期待いっぱいの目で伸ばされた手を取らずにはいられないぐらい私は今彼に気を許していた。


「んー、この味!懐かしい」

「本当だね、ぜんぜん変わってない」


口の中に広がる甘い味。任務中もユキの目を盗んではちょくちょく甘味を食べに繰り出していたが、やはり里にいるという安心感がより美味しさを引き立てていた。


「それにしても、First nameさんだけ休暇少ないとか五代目も手厳しいっすよねー」

「そう?あんまり長いと鈍っちゃうし別に気にしてないよ」

「俺は休暇中もっとFirst nameさんとラブラブしたかった」


ぐすっと泣き真似をするリツ呆れつつ残しておいたサクランボをくわえた。


「まぁ、暇だったら声掛けてよ。リツとは任務先で合流してからの付き合いだし、なんか里でこんな感じなのも悪くないなーって」

「First nameさん……、じゃあぜひ!今夜お家に泊めてくだ……」

「だーめ」


遮ったのは、間延びした緩い声。


「やぁ」

「畑、カカシ」

「どうも、鈴音リツ」


リツのチャクラがじわりと溢れ揺らめく。「そんな警戒しないでよ」と笑うカカシにリツはさらに毛を逆なでだ。


「First name、報告終わったんでしょー?だったらちょっと付き合ってよ」


細められたまま孤を描くその笑った顔は、私を弱くさせるのには充分だった。こんなに離れていたのに、こんなに時間が過ぎたというのに、あの時の恐怖を忘れさせてくれない。

ここにいる私は、あの日の壊れそうな私だった。

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