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06

ーーー数年後


ざぁっと砂の混じる風が伸びた黒髪を靡かせる。ベタつく髪を掻き上げて溜め息混じりに空を見上げた。

青く高い空。雲がそこで浮かんでいる。そこに一匹の鷹が悠々と空を泳いでいた。


「First nameさーん!」

「こら、隊長って呼びなさいってー」

「いいじゃないっすかー、俺らの敬愛の証っすよー」


岩と砂しかないこの僻地。一際高い岩の上で胡座をかいていれば、この任務で一番の若手、リツが呼びに来た。


「はいはい。ほら、皆集まってー」


まるで幼稚園児に対するような呼びかけに対して現れたのは砂色のマントを羽織った忍等。どこか畏怖の色も漂うそれにFirst nameは変わらず声をかけた。


「さて、皆さん里へ帰還のお時間です。里へ着いてあの懐かしき門をくぐるまでが任務ですよー」

「First nameさーん、遠足じゃないんすから気ぃ緩むんすけどー」

「はい、そこ黙る」


ビシッと指差せばリツが隣の仲間に頭を叩かれてた。もはや見慣れたそれに苦笑し、顔を引き締めれば空気も締まる。


「……いいか、最後まで気を抜くな。何度も言うようだが私はこの任務を誰一人欠くことなく終わらせたい。帰還編隊はフォーマンセル。先頭は私の班が征く。無事、里で会おう。……以上、散!」


帰る時が来た。

歯車がカチリと動く音がした気がした。

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