◆柳の受難はこどもの日
「精市は喜ぶのか」
「日本男児だからな。甘いものは嫌いではなかったはずだ」
「弦一郎、分かりにくい冗談は寄せ。恐らく、節句を忘れないとはいい心掛け、風流だねと言うだろう」
「そうだな。ここで良かろう。すみません、柏餅と粽を三つずつ包んで頂けますか」
「はい。お若いお父さん達ですね」
「む…いや」
「お父さん達?」
「家族ぐるみで端午を祝えるのは、素敵ですよ。おまけにお煎餅入れますね」
「あ、いや…れ、蓮二」
「お父さん達とは」
「はい、お釣りね。奥さんも大事にねぇ」
「弦一郎、俺は弦一郎並に老けているのか」
「何を言うか!お若いと言われただろうっ!」
「あ、あぁ。そうだな」
「分かっただろう」
「今まですまなかった」
「うむ」
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