柳の受難はこどもの日



「精市は喜ぶのか」

「日本男児だからな。甘いものは嫌いではなかったはずだ」

「弦一郎、分かりにくい冗談は寄せ。恐らく、節句を忘れないとはいい心掛け、風流だねと言うだろう」

「そうだな。ここで良かろう。すみません、柏餅と粽を三つずつ包んで頂けますか」

「はい。お若いお父さん達ですね」

「む…いや」

「お父さん達?」

「家族ぐるみで端午を祝えるのは、素敵ですよ。おまけにお煎餅入れますね」

「あ、いや…れ、蓮二」

「お父さん達とは」

「はい、お釣りね。奥さんも大事にねぇ」


「弦一郎、俺は弦一郎並に老けているのか」

「何を言うか!お若いと言われただろうっ!」

「あ、あぁ。そうだな」

「分かっただろう」

「今まですまなかった」

「うむ」




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