雑誌の行方



部活終わりを待っていた泡子を、入りなよと言ったのは幸村だ。

そして泡子は今、皆が着替えているのを気にすることなく、雑誌を読んでいる。無論、持ち込んだ丸井は真田に説教された。

泡子はあるページを熱心に見ていたかと思うと、柳生に見せた。

「当たっていませんね」

くすくす笑う柳生にだよね、と泡子は真田の腕をたたいた。

「この占いをやったらね、私の赤い糸と繋がっているのは、柳くんだってさ」
「む」

泡子の言葉に柳が、にやりと笑った。
「ほら、身近にいる貴女のサポート役ですだって」

ねぇ、と柳にも見せると光栄だなと。真田は、ムとしかめっ面をしたまま荷物を片付け始めた。

「占いなどくだらんっ!」

珍しい
いつもならそんな顔しないのに
不思議に思いながら、泡子はその雑誌を真田に見せた。


「ちなみに、真田くんの運命の赤い糸の相手は私だって」

これは、驚いた
だけど私の相手が柳くんなのに
随分適当だこと

再度、くだらんと言いながらもしっかりそのコーナーを読む真田。柳生が内容を尋ねるので泡子が読めば、柳生にのしかかるように仁王も興味を示した。

「身近にいる貴方のことを想う異性の友人だって。誕生日が私だもの」

泡子と真田の付き合いは友人からで、それを知る面々は成る程、と頷いた。

「しかし、泡子は柳の運命の相手だろう」

バサリと雑誌を閉じた真田。泡子は、真田の不機嫌な理由が分かった気がした。

ゆっきーも笑ってるしさ

「信じるの?」
「泡子が言ったんだろうが」

どうなんだ、と言われても泡子の答えは一つしかないのだ。

「私は真田くんが好きなんだけど」
「ならば、その雑誌は今すぐ捨てろ」

顔色を変えないのは残念だったが、余り言われない言葉にむず痒さを感じたことが嬉しかった。はーいと言えば、伸ばすなと頭に真田の大きな手がのせられた。



(捨てようと思ったんだけど、返すよ)(当たり前だろぃ)(まあ、当たんないよ、それ)(真田ってお前には甘いよな)(そう?)(あぁ)


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