水玉模様


「風が強いね」

部活に向かう為に昇降口に出たは良いが、秋風が吹き込んで落ち葉が舞い込んでくる。

「スカートがめくれる確率65%」
「微妙だね」

泡子は、隣に立つ乾の脇腹を小突いた。

「更に俺がそれを見る確率100%」

動じることなく乾は、ノートを開いた。

「何それ?」
「いつも隣にいるからな」

私が隣にいてもノート開くくせに

泡子は嫌味を込めて、ストーカーと言った。スニーカーを履いた乾が、何を馬鹿なことをとばかりにニヤリと笑った。

「いや、彼氏だろう。いい加減、名前で呼んだらどうだ」

恥ずかしいに決まってんじゃん

「恥ずかしいから呼べない確率100%」

満足だ、と眼鏡を押し上げた。

「当たり前でしょ」

泡子は、ノートを捲る乾より一歩先を歩く。それは泡子が乾と歩く時の癖だった。


「だが、今日はお気に入りの白に桃色のリボンだな」
「何が?」

パンツと恥ずかしげもなく、乾は答えた。

馬鹿馬鹿しいと泡子は乾の脛を蹴飛ばそうとしたが、躱された。

「若しくは、白に桃色の水玉か」
「だぁかぁら!何?」

前々から変態だとは思ってたけど…
泡子は乾を睨みつけた。


「泡子は、俺と付き合うようになってから桃色のものを身につけるよ
うになっただろう」

泡子が睨んでも怖くないのだがな
乾は泡子の視線など意に介さず、続けた。

「何故、今言うのか。それは、他の奴らの前で泡子のスカートがめくれては困るからな」
「早く言いなさいっ!」

その時、ザアァと木々が揺れ、落ち葉が舞い上がった。びっくりしたと髪を押さえていた泡子は、乾のニヤリと笑った様に、まさかと気付いた。

「ストライプか。新しいデータだな」
「いーぬいー!」


(泡子もやっぱり女の子だね)(不二くんよ、コメント返し辛いから)(不二、見たのか)(乾、安心して。見てないから)(…)



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