耳かき


どたどたっ!だんっ!

「海子っ!!」

仕事中ですよ、そう答えるのは海子。

入ってきたのは戦闘集団十一番隊第三席斑目一角。

「今日は一緒に帰れんのか!?」
「そうですね…」

「よし!!じゃぁ海子の部屋に行くぞ!」

「分かりました…」

「おぉっ」

ガタッ…だんっ!!

どたどたっ!

溜め息をつきながら海子は仕事に戻った。

隣りに卯の花隊長さえみえなければ…。

海子は四番隊所属。
隊長はもちろん尊敬してるけど…たまにはねぇ。

でも恥ずかしいからあんまり顔を出して欲しくないかも…

定時上がりに隊舎前に行くと既に一角はいた。

「遅ぇぞ!」

「むぅ…ごめんね?」

こいつ分かっててやってやがる…その瞳で見上げるなっ!!

「…分かりゃいんだよ…行くぞ」

「ん」

そう言いながら海子は右手を差し出した。

一角はそっぽを向きながらぐいっと手を繋いだ。

「冷てぇなぁ」

さっきまで器具を片付けていたからだ…

「洗い物だよ?」

そうかよっと言い放つと歩調を早めた。


勝手知ったる部屋…一角は海子がお風呂のお湯を溜めている間お布団を敷いて胡座をかいて物思いにふけっていた。

溜まると海子は先に一角に入らせてから入った。

戻ると、壁にもたれてぶぅたれた顔をしていた。

「どうしたの?」

思わずクスクス笑いながら向かいに腰をおろした。

「あぁっ!?何でもねぇよ…」

「そんなこと言ってるくせにつまんなさそうな顔っ」

「…檜佐木がよ…膝枕してもらったんだとよ」

…なるほどね

「そっかぁ…する?」

「別にして欲しい訳じゃねぇぞっ!!」

またまた…顔真っ赤にして可愛いなぁ…なんて言ったら怒られるか

「…じゃぁ私がしたいなぁ」

腕を組んだ一角は仕方がないといった顔をしてから

「仕方ねぇなぁ。やらせてやるかっ」

はいはい

「どうぞっ一角」

正座をして膝をぽんぽんすると体を倒して頭を膝にのせた。

お風呂上がりの海子の石鹸の香りが一角の鼻をくすぐる。

「そうだ!いっそのこと耳掻きしない?」

「なんだぁ?」

「私上手だよ?たまにやってあげるもん」

「…誰にだよ」

少し声が低くなったことに気付かない海子は続けた。

「んとね…荻堂さんでしょ?阿散井くんでしょ?吉良くんに…」

「お前なぁ…」

下から見上げる一角の目付きが鋭くなったことに気付いた海子は手を振りながら

「阿散井くんが吉良くんに無理矢理させたのよ?だから阿散井くんがきっかけ!!」

「荻堂は?」

「頼み込むんだもん」

「ちっ…」

「もぅ…やんないから…ね?」

こいつ本当に分かってんのかよ?

一角は海子の首筋に手をなぞらせた。ぴくっとする仕草にそそられる。そのまま後頭部を引き寄せ口づけた。

甘い甘い口づけ。

だけど仕置きが必要だよな?

そんなつもりがなかった海子の唇を割り舌を忍び込ませた。

逃げる海子の舌を捕らえながら口内を味わう。

名残惜しく離せばほんのり赤く染まった頬が目に入る。

もぅと言いながら膨らませる頬。

つんとつつけば恥ずかしそうに笑みを零した。


じゃぁやるからねと耳掻きを取り出した海子を見て顔を横に向ける。

終わってからそのまま抱けるように最初は外からだな…


食堂にて

「恋次!!てめぇなぁっ!!」

「なんスか!?」

「耳掻きだっ!!」

「…げ!!」

「分かってんじゃねぇか!!!」

「一角美しくないよ」

「弓親さん!助けて下さい!!」

「先に戻るね一角」

「おぉっ…」

「本当にすみませんでしたっ!!!」

「次やったらタダじゃおかねぇぞ!!!膝枕なんかなぁっ!!!」

「…膝枕じゃないっスよ?検査ついでで…」

「…そうなのか!?だがてめぇは海子に耳掻きさせただろうがっ!!!」

「…すみませんでした…」

「分かりゃ良いんだよ」

要は海子さんに近付くなってことか…はぁ…


吉良に謝りに行こう…



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