▼幸村の妹
「お兄ちゃん、私ねバイトするの!」
「何処でだい、天子?」
「駅裏のNoirっていう喫茶店だよ」
「へー、良いんじゃないの。でも、急にどうしたのさ。天子は本屋が良かったんじゃないの?」
「そこのね、店員さんが素敵なの!ダンディーなのっ!」
「ダンディーねぇ…。真田はダンディー?」
「弦ちゃんはダンディーじゃないけど、カッコイイよ!」
「そう。天子って、割と男らしいのが好みなの?」
「かなぁ?」
「講義に支障は出さないようにね、天子」
「分かってるよ」
「え、三年生ですか?」
「あぁ。いくつに見えた?」
「二十後半かなぁと思いました…」
「慣れているから気にするな。牧紳一、よろしくな」
「幸村天子、立海大一年です。よろしくお願いしますっ」
「真田、天子が真田のことカッコイイってさ」
「中学の時から言っていたな。弦一郎、照れるな」
「ね、今日バイトある?」
「む、俺は祖父の用事がある」
「済まない、精市。代わりに、木暮と仁王なら空いてるぞ」
「誘ってみるよ」
「お、ブンちゃん!喫茶店に行くんじゃが」
「行くに決まってんだろぃ!」
「仁王、ふらふらするな。幸村、名前は?」
「Noirだよ。駅裏だってさ」
「へぇー」
「天子ちゃんの趣味は変わっとるんじゃ」
「そうなのか?」
「この前、赤木を見て素敵って言ったらしいぜぃ!木暮、口が開いてる」
「あ、あぁ…」
「いらっしゃいませ。何名様ですか」
「四です」
「こちらにどうぞ」
「ま、牧!!」
「ん?あぁ、木暮か。久しぶりだな」
「いや、この前練習試合を組んだじゃないか」
「そうだったな」
「前からか?」
「いや、叔父が一人で切り盛りするのは大変だって言うから。あと、女の子が一人さ」
「俺、パフェにしよっかなぁ!仁王は?」
「ちゅうことは、おまんも同い年け?」
「あ、あぁ。その叔父さんとやらは?」
「カウンターから出ないぞ」
「幸村くん?」
「幸村?」
「女の子呼んで下さい」
「あぁ…」
「お兄ちゃん!」
「天子、まさかこの人がダンディーだからってバイトを希望したのかい?」
「そうだよ」
「天子ってさ、おっさん顔が趣味なの?」
「…赤木の方が老けてる」
「そ、そうじゃな」
「幸村くんて素で言うから怖いぜぃ」
「牧、今度赤木を連れて来るよ」
「真田もじゃな」
「老け顔サクールってかよぃ」
「こら、丸井っ!」
「赤木の方が老けてる」
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