バードウォッチング中なんです・前編


 オラオラしながら平凡君を口説いている不良君を見つけました。

 三階の廊下の窓から、対面している南校舎の二階の教室は丸見えなんだよね。え、それじゃあ口説いてるかどうかわからないんじゃないかって?

 いや、だってあの不良君が平凡君にラブってるって知ってたしー。そんな二人が空き教室にいるんだもん、告白しかないっしょー。

 あ、でもここだけの話なんだけど、あの平凡君実はタチなんだよねー。しかもバリタチさん。あどけない顔立ちをしてるからけっこうもてるんだけど、どんな強面さんでも美味しくいただいちゃってるらしいよ。

 このままだと、不良君もぱっくりされちゃうんだろうね。でも、大丈夫。その平凡君は、嫌だって言えば無理強いはしないらしいから。ということは、すでに食われちゃった人たちは平凡君の手練手管に陥落しちゃったんですね!

「おっ、不良君が平凡君を押し倒したぞ!あ、平凡君、気付かれないようににやって笑ってる!ちょ、まさか平凡×不良のにゃんにゃんを生で観戦……!!」

 できるのでは、と思ったらカーテンが引かれてしまいました。きっと、恥ずかしいからカーテンを引いてって平凡君が言ったんだろうな……しかし、あの教室で美味しくいただかれてしまうのは不良君、君の方なのだよ。

「いや、ここは廊下で盗み聞きという手が!!」

「……なにをする気だ?」

「うにゃん!?」

 背後から声をかけられ、俺は思わずびくりと肩を揺らした。しかも、へ、変な声出しちゃったし。

 恐る恐る振り返れば、そこにはルイを攻めてほしいタチのトップに君臨する風紀委員長様が立っていらっしゃいました。名前は鳥羽清四郎(とば・せいしろう)といいます。渋すぎるだろ。

「人気のない場所に近付くなと、何度言えばわかるんだ」

 いや、だって人気のない場所じゃないとにゃんにゃん現場を観戦できないじゃないですか。はぁ、と溜息をつく風紀委員長様は実に渋いです。しかも眼鏡キャラなんだよ!←これ大事

「ええっと、散歩中で……」

「双眼鏡を持ってか?」

「バードウォッチングです」

 写真撮ったりしないし。双眼鏡で覗き見するだけだし。ぶっちゃけ、他人に見られるとこでにゃんにゃんする奴らが悪いんだよ!見せつけてるんですね、わかります。

「まったく……お前は、一度痛い目をみないと懲りないのか?」

「そんなことないですよー、って、うわっ!」

 いきなり腕を引かれたかと思うと、俺は背中を壁に押しつけられた。むろん、相手は風紀委員長様。

「い、委員ちょっ、うむっ」

 むりやり合わせられた唇から、熱い舌が忍び込んでくる。なにがどうなってこうなったのかわからないけど、こういうことは俺じゃなくてルイにやってください。

 っていうか、上手いな風紀委員長様!セフレがいるっていう噂は聞かないから、どこでこのテクを学んだんだ。外か。外できれいなお兄さん(←これ重要)と人には言えないことをしているのか!

「ん、ふあっ」

 舌が口内を動き回る度に、背筋にぞくぞくとしたものが走る。ちょ、待って。俺ノンケなんですけど!?女の子ともそんな経験のないチェリー君なんですけど!!いや、手を繋いだりキスしたりしたことくらいはあるけどね。

 パニックと酸欠を起こし掛けていた時、腕を強い力で引っ張られ風紀委員長の拘束から逃れることができた。

 展開についていけずぽかんとしていると、背後から体をすっぽりと覆うように抱きすくめられる。

「三森に触れるな」

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