のちの俺様何様会長様


「な、なんだと!?」

「このまま続けてもいいけど……時間をかけすぎちゃうとアジトに向かった彼らのお仲間さんが騙されたことに気付いて、引き返してきちゃうんじゃね?」

 ここで引いてくれたら儲けものなんだけど、頭に血が上ってるせいか、相手は何事か喚き散らしながら俺に向かってきた。

 仕方ないのでトンファーを勢いよく鳩尾に叩き込み、勢いに任せて回し蹴りをお見舞いする。

 西園寺の時は止められたしまったが、今度はきれいに決まった。が、人を殴ったり蹴ったりするのは気分のいいものではない。それが、正当防衛だったとしてもだ。空手の乱取りは楽しいのだが。

 ああ、早くこんなことは終わらせて、平穏な日常生活に戻りたいものだ。

「やめとけって」

 誰かが舌打ちしたのをきっかけに、敵チームの奴らは地面に倒れている仲間を抱え、警戒しながら去って行った。廃屋の中で気絶している奴らもちゃんと連れてけよー。

「さて……」

 タウゼントの面々に視線を向けた瞬間、拳が繰り出された。それをぎりぎりで避け、俺は素早くその場から飛び退く。見れば、そこには瞳をぎらぎらと輝かせた少年が立っていた。

 濡れ羽色の髪に、金色の瞳。整った顔立ちは、日本人離れしていると言っても過言ではない。総長、と誰かが彼を呼んだ。

 なるほど、この少年がタウゼントの総長――アインスか。

 本名は、葛城蓮(かつらぎ・れん)。

 渡部朋幸より一つ年上の、高校一年生。俺が高等部に入学する頃には、生徒会長になっているはずだ。

 しかし、西園寺といい葛城といい、最近の高校生は発育がよすぎではないだろうか。あっちの世界の俺にも少しわけてやってくれ。

「お前らは情報を甘く見すぎなんだよ。だから、簡単に罠にかかっちまう。旨い話ほど疑ってかかれよ、青少年」

「っ、てめぇは誰だ」

「ええっと、通りすがりの一般人……」

「んなわけねぇだろ!」

 ですよねー。一般人に謝れって話だ。

「助けたのは、単に相手の族が嫌いだから」

「のわりには、逃がしてんじゃねぇか」

 おう、痛いツッコミを。

 苦笑しながら、俺は口を開いた。

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