※中尉×??










たかがそれだけのこと。
反抗を表すならそれで十分だろう。

口に突っ込まれた熱い異物。
先から液体がじわじわ流れているのがわかる。苦い。臭い。
感覚をシャットアウトしたい。

息が苦しい。開きっぱなしの顎が痛い。
動く舌は私の物では無いように、熱いそれを刺激している。

頭上の呼吸の乱れを聞き取りながら、丹念に、相手を悦ばせる。
考えるべきはそれだけ。

ああそれでも。何度も頭を過るの。
これを噛み千切ってしまえれば、と。

ぐぅ、と呻き声と共に勢いよく液体が口を満たした。溢れんばかりに。
苦い液体を溜めたまま、口端を拭う。

相手の呼吸は荒い。まだ何も言わない。
つまり命令は下っていない。飲めとも吐けとも。

立ち上がる。相手が従って顔をあげた。
それに両手を添えて、目を合わす。
顔を傾け唇を近づける。


ああ、やっぱり無理。接吻まで数ミリのところで、どろりとした液体を吐き出した。
見開いた目に微笑んで、白濁に汚れた顔から手を離した。
残りを床に吐いて、踵を返す。
後ろから何か聞こえるけど、知ったことではない。

彼じゃなきゃ私は服従しないわ。


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