呼び出され部屋に行くと、何故か臨也さんにいつもの倍のお小遣いを貰った。しかも普段は仕事の資料のみを渡してくれる波江さんにまで。
「…あの…?なんですか一体…?」
「なんだ、気付いてないのかい?」
少し驚いたように目を見開いた臨也さんを不思議に思い見ると、頭を妙に優しい手で撫でられる。
…気持ち悪いな、オイ
「…ちょっと、その子怯えてるわよ」
ナイスです波江さん。
「ええー…ひどいなあ正臣君。俺の海より深い愛をちゃんと受け止めてy「気持ち悪いんでやめてください」
あ、言っちゃった。臨也さんが嘘泣きしながら正臣君がいじめるーと波江さんに抱きつく。…波江さん、目がリアルに怖いです
臨也さんの頭を分厚い資料で思い切り叩きながら、波江さんはおれに目線を向けた
「貴方、本当に今日が何の日かわからないの?」
こういう日に騒ぐの好きそうなのに、と意外そうに瞬きする。
…え、本当に今日何の日だっけ
「今時の子は自分の生まれた日とかって覚えてないものなのかしらね」
確かに誠ニもよく自分の誕生日忘れてたわね、と最愛の弟の顔を思い出したのか、いつもはほとんど表情の変わらない顔を紅く染め、恍惚とした笑みを浮かべた。…この人この恐ろしいまでのブラコンじゃなかったら完璧なのにな
「あー…そっか、今日おれの誕生日か…」
自分の誕生日なんてすっかり忘れていた。多分帝人や杏里にすら自分の誕生日なんていってなかったと思う。…誕生日を祝って貰おうなんて考えたこともなかった
頭を抑えて呻いてる臨也さんをぼんやりと見ていると、今流行っている歌が携帯から流れ出す。この着信音は、沙樹だ。携帯を開くと、おそらく自分で作ったのであろうケーキの写メと、早く帰ってきてね、と書かれた可愛らしいデコメが送られていた。
…沙樹は、知っていたのか
「まあなにはともあれ誕生日おめでとう、正臣君」
いつの間にか復活した臨也さんがにっこりと笑いながらおれの頬を両手でぐにぐにと揉む。その後ろで波江さんも珍しく穏やかに笑っていた。
何故だか二人の姿を直視できなくなって、少し目をそらしながら小声でありがとうございます、と呟いた。

やさしさにつつまれたこども
(暖かすぎて、少し居心地が悪かった、なんて)






じつはこれ正誕の小説になるはずだったものです。
途中でかけなくなって放置したんですが今更ながらに完成して晒してみる←
悪意の欠片もない臨也がなんか気持ち悪いですね←










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