曖昧すぎて壊れやすくて
「臨也、俺彼女が出来た」



無邪気に、少し照れながら君は言う。



「…へぇ、シズちゃんみたいなの好きになる物好きな女の子なんていたんだね?」



今の君の言葉はオレにとっての毒薬でしかない。



「るせぇ…だから臨也、頼みがあるんだ」
「…頼み?」



オレの前であの子の話をしないで欲しかった。


そうであればきっと、オレはなんとか身を保っていられたのに。


君の毒薬で死ぬことはなかったのに。



「ああ、あいつ喧嘩嫌いでさ…だからもう、俺にちょっかい出さないで欲しい」



オレにとって唯一無二の君との繋がり。


君はそれを、断ち切った。



「喧嘩はもう止めよう」



君がオレを追いかけて、オレは君から逃げる。


痛い時もあった。


苦しい時もあった。


でも嬉しかったんだ。


君の目にはオレしか映っていないことが、オレの心を満たしていたのに。



それでも君は、彼女を選ぶんだね。



「…いいよ、飽きてきた頃だしね…シズちゃんに彼女が出来た事、オレも祝福するよ」
「嘘つけ…でも、ありがとな」



嗚呼、君の笑顔で精神が崩壊する。


君の手のひらで肉体が崩壊する。


君の全てで、オレは崩壊する。










曖昧すぎて壊れやすくて










(もっと、素直になれてたら…)



こんなことにはならなかったのにね。



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