笑ってろ
彼女は欲しい、だけど彼女ヅラされんのはムカつく。付き合ってもないのに、さぞ俺の女だと言わんばかりの態度に腹が立つんだ。いっそ轢いてしまおうか。いやそれは駄目か。どっちにしろ女は面倒だ。彼女は欲しいけど。でも厄介だ。うるさいし、耳障りだし。甲高い声とかマジムリ。鬱陶しいし。嗚呼、こんなんだから彼女が出来ないのかもな。彼女は欲しいのに。大事な事なので三回言いました、つまらん。
けれど好きでもない女にそんな事されんなら、いっそ好きな女に脈ナシな行動をされた方が幾分もマシかもしれない。うん、きっとそうだ。


「ぎゃ、センパイ帰ってなかったんすか!?」


だってほら、その証拠に体育館の片隅で堂々と着替えてやがるし。奇声に色気がねぇし。誰もいないからって、何やってんだ。更衣室使えよ。誰か来たらどうすんだ。下着丸見えだぞ。あ、胸結構あるな、じゃなくて。って笑うな馬鹿。顔が赤い?んなもんわかってるっつーの。彼女?んだよいきなり。いねーよ、欲しいのに。あ、四回目。あーもう俺の彼女はバスケだよ、青春万歳。あ?もうすぐ終わるなんてわかってるって。ホントは彼女欲しかったよコノヤロウ。てかこれからだぜ俺の青春は。いやそんなことはどうだっていいんだよ。つーか、緑間いんじゃねぇの?


「真ちゃんは、なんか明日のラッキーアイテムがどうとかで先に帰りましたー」


こんな、外だってだいぶ暗くなってんのに女一人残してラッキーアイテム優先か?男としてあり得ねぇよ。つーかお前が緑間を真ちゃんって呼ぶのも不愉快。ということでよし緑間明日沈める。


「…まあ、ホントはあたしが先に帰らせたんですけどね」


でも先に帰ったんだろ、何も違わねぇよ。だいたい数少ないマネージャーを独り占めするうえに置いて帰るなんざ何様だアイツ。ホントはお前だって怒ってんだろ、アイツが簡単に先に帰ったこと。違うのか?


「違いますよだってあたし、まだ宮地サンがいること知ってましたから」


知ってた、て。え、じゃあ俺が来ることを予測してたってことだろ?じゃあ尚更、お前、こんなとこで何やってんだ。男はオオカミなんだぜ?俺だって男だ、襲われたって文句言えねぇぞ。こんな、なあ。好きな女のあんな姿見せつけられて、黙っていられるほど俺はまだ大人じゃないんだよ。わかるか?俺は彼女が欲しいのに出来ない、なのに彼女ヅラする女はいるんだよ。だからこれ以上俺を刺激するな、轢くぞ。轢かないけど。


「センパイの、そういう優しいところが好きですよ」


ほら撃沈。お前は緑間が好きだと思ってた。いつも一緒にいるし仲良いし。同じ学年だから?違うだろ、それだけじゃないはずだ。緑間だってお前に気があるんだよ、わかってるか?あ?違うのか?…え、アイツ彼女いんのかよ!?しかもモデル?よし緑間コロス。あ?羨ましいとかそんなん思わねぇよ。だいたいアイツだって、彼女がモデルだからとかで付き合ってるわけじゃねーだろ。そういうのナシで、本気で恋してガチで付き合ってるはずだ。って笑うな、吹くなオイ。セリフがクサイ?ほっとけ。あーくそ、お前は面白いことがありゃすぐこれだもんな。嫌?嫌じゃねーよ。つーか俺、そういうお前が好きだからな。笑い顔とかマジ可愛い。あ、赤くなったその顔もすげーそそる。あ?宮地サンエロいだ?男はみんなエロいんだよ、悪いか。そんな俺を好きになったお前も充分エロいぞ、いや身体的な意味で。…うん、今のは流石に悪かったな、すまん。まあつーわけでだから、お前はこれからも俺の隣でそうやって笑ってろ。





だから明日、彼女ヅラする女に言ってやるよ。俺には可愛い彼女がいるってな。



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