刹那
儚く散る、初恋と呼ぶにはいささか爛れた関係だった。想い合っていたなんてのは自意識過剰、子供相手の暇潰し。その程度にでも思ってくれてりゃまだ幾分かマシだったかもしれないが。

「お前とはもう会わん」
「…あっそ」
「なんやそっけないな」
「べっつに、んだよ、未練タラタラに縋りついて欲しいってか?」
「そない面倒なやつちゃうやろお前」

素っ気無い大人はお前、未練タラタラで縋りつきたい餓鬼は拙僧の方。我慢してんの気付かないフリして、けどあんまし顔は見ないようにして。下手に恋なんてするもんじゃねぇななんて後になりゃ笑い話だ、って言い聞かせて。今生の別れでもあるまいし、けど一生忘れらんねぇのも否定出来なくて。こんなに弱かったんかよ、って誰かに馬鹿にされた方がずっと楽かもなんて思っちまって。

「空却」

もう抱かねぇくせに、もう会わねぇくせに。そんな甘ったるい声で呼ぶな、接吻なんかすんじゃねぇよ。泣くの我慢してる拙僧の方がよっぽど大人で、無理に突き離そうとする手前ぇの方がずっと餓鬼じゃねぇか。



《刹那の恋に憂う》



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