最後の願いを
どんなに足掻いても。

どんなに息を吐き出しても。

どうにもならない事がある。

目は開きそうにないから視界は真っ暗で。

身体は動きそうにないからただただジッとしたままで。

見えないし、動かないだなんて。




死んだも同然じゃないか。




生きている事さえ不思議で。

いっそのこと息の根を止めてくれた方が楽。

この先ずっとこのままだなんて、俺には耐えられそうにもないから。

どうか俺を、殺して下さい。

そんな願いすら、もう誰にも届かない。

なんて不憫な事だろう。

世界は広く広大だったのに。

俺の世界は一気に真っ暗になってしまった。


心なしか、考える事すらも疲れてくる。

なんだか眠くもなってきた。

嗚呼これが死ぬ間際なのかな、なんて思いながら。




生きたい、だなんてらしくない事を考えた。

人はきっと、死ぬ間際になると生きたいと思うのだろう。

きっと、叶わないだろうけど。

でももし、叶ったとしたら。




――臨也!!!!




もしもう一度生きる事が出来るのならば。

たった一つの願いを、叶えて欲しい。

俺は彼が好きだった。

それはこんな状態になっても変わらない。

今更、だけど。

たった一人のニンゲンに執拗し続けて。

嫌われている事はわかってる。

でも

大好きな事に変わりはないから。

叶うならば最後の願いをどうか。

誰かに届いて欲しい。

必ず、必ず。

他に何もいらないから。

どうか、どうか。

好きだった、大好きだった。

だからこそ。












俺はシズちゃん以外、何もいらない。













愛してるだなんて、今更だ。



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