シアワセ
『好きです』
『愛してます』
『付き合ってください』


幾度となく囁かれた愛の言葉に、私は何度首を横に振った事だろう。


『絶対幸せにします』


根拠の無い告白は、きっと私の表面しか見ていない。
内側を知ったら離れていくだろうに。
なんて人間は愚かで勝手な生き物なのだろう。


『好きです』
『愛してます』
『付き合ってください』


馬鹿みたいな愛の告白なんかより、


「今日こそくたばれ、ノミ蟲」


罵倒の言葉にときめいて、その鋭い視線に殺されてもいいとさえ思ってしまう私はきっとおかしい。
その上自覚しているから余計タチが悪い。


「好きや愛してるって言われるより、私はシズちゃんに嫌われる方が好きだよ」


なんて言ったら悪趣味、だなんて罵られて。


「だってシズちゃんが私を好きになるはずないでしょ?」


なんて言ったら「んな事ねぇ」だなんて言って。


「うそつき」


なんて言って嘲笑う。
だって事実でしょう?シズちゃんが私を好きになるはずなんてないもの。


「臨也」
「何?」
「俺は手前なんざ好きでもねぇし愛してもいねぇ。けどな…」


ぎゅっと拳を握り締めるその手で、どうか私の首をへし折って。


「ほっとけねぇからそばにいさせろ」


私は私の幸せよりも、シズちゃんに殺される事を望んでいるの。
それが私の、シアワセだから。



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