今更すぎて ※注意 シズちゃんと、付き合い始めた。 今でも信じられないが、本当の事なのだから驚き。 そしてどうして私達が付き合う事になったのかと言うと、事の成り行きはこうである。 それは昨日の喧嘩中。 いつもとなんら変わらない、いつも通りの追い掛けっこをしていた時だった。 『待て臨也ァァァァァ!!!!』 『あはっ、捕まえたかったら捕まえてみなよ!!』 池袋中を走り回り、私はシズちゃんから逃げていた。 それで不意に路地裏に逃げ込んだ私を追い掛けて、シズちゃんも路地裏に入ってきて。 でも運悪くそこは行き止まりで…まあ、追い込まれたわけ。 塀も高すぎるし逃げ道もないから、ナイフを取り出して身構える私。 『いーざーやー…!!』 計算外だったけどそこまではよかった。 じりじりと迫るシズちゃんは相変わらず殺気充満で。 ちょっと今回はヤバいかな、とか思いながらも平静を装っていたわけで。 それでもお構い無しに徐々に近いてくるシズちゃん。 だから出来るだけ距離を離そうと後退したんだけど…。 一歩下がった途端、落ちていた瓶につまずいて。 あ、転ぶって思ったんだけどその時、シズちゃんが。 『危ねぇ…っ!!』 って叫んで、物凄い速さで走ってきて私を抱きしめた。 だから転ぶ事はなかったけど、抱きしめた勢いでシズちゃんは尻餅つくし、私もそのままシズちゃんに抱きしめられたままだし。 突然の事に驚いて顔を上げたらシズちゃんが肩で息をしてて。 必死そうな表情になんだか心臓が高鳴るし。 『…シズ、ちゃん?』 なにこれ、とか思ってたら、 『怪我、ねぇな?』 ってそんな事言われてさ。 急に優しくなるとか反則でしょ、有り得ない。 しかも一度視線が交わると、目を反らそうとしてもできなくって。 『…臨也』 シズちゃんに名前を呼ばれただけで心臓がぎゅうって締め付けられたような感覚がするし。 視線を反らせないでいると、だんだんゆっくりと、シズちゃんの顔が近くなって。 『…っん』 気付いたら唇が重なってた。 頭がくらくらしたと思ったら、シズちゃんの舌が私の唇を舐めてきて。 ぶるり、と身体が震えて息を吐き出したんだけど。 そうしたらシズちゃんの舌が、今後は私の口の中に入ってきた。 『んぅ…っ///』 ねっとりと舌を舌で絡めとられて、唾液が混ざりあう。 離れようとしても、シズちゃんの手が私の頭を押さえているから離れられない。 暫くするとだんだん酸欠になってきて、目元が涙で潤い始めた。 それでも唇は離れないままで。 だからそのままシズちゃんの服を握りしめて耐えていた。 そして執拗に舌で口内を犯された後、ちゅ、という音と共にようやく唇が離された。 『っは、は…///』 息があがって荒くなる呼吸と、名残惜しげにも離された唇と唇は離れる事を拒むかのように唾液で繋がっている。 ぷつり、と途切れたかと思った時、引き寄せられた私の身体はシズちゃんの胸の中へ。 香るのは、苦い煙草の匂い。 『…臨也』 耳元で囁かれる低音と、脈打つ心臓の音とが重なる。 もしかしたら私の心臓の音も、シズちゃんに聴こえているかもしれない。 『……好き、だ』 シズちゃんの大きな掌が、私の頭を何度も往復する。 それがとても心地よくて。 『…私、も』 もう一度顔を上げてシズちゃんを見上げる。 頭を撫でていた掌はゆっくりと私の頬に移動していて。 今度は見つめ合って、私からシズちゃんに顔を近づけた。 |