デュ←エス
「(あ、好きだわ、こいつのこと)」

なんて、自覚するのは唐突に、なんの前触れもなく。気付いた時には遅かった、遅すぎたんだと改めて思うと我ながら鈍かったんだと痛感する。不思議と後悔はなくて、それよか幸せになって欲しくて。隣に居てほしいなんておこがましい、でもオレにとっては最後の恋だ。欲が無いわけじゃない、出来るなら一緒に歳をとりたい。叶うならオレと添い遂げて欲しくて、ああ、好きってこんなに面倒なんだな。

「エース」

血に塗れた手を弱々しくも伸ばして、頬を撫でる。もう声が聞こえない、口にも出せない。「死ぬな」って言ってんだ、それくらいわかるよ。

「(好きだ)」

目の前の愛しい人へ。どうか、オレがいなくても幸せになって。デュースの腕に抱かれながら、目を閉じる。最後にもう一度、名前を呼ばれたような気がした。



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