宿←虎
独特な笑い方をする男に眉をしかめる。生得領域に来るのは何度目か、こちらを見下ろす姿は見慣れたもので。溜め息を吐けば愉快そうに嘲笑った。かつて人間だった男は、今生最凶の『呪い』。人の不幸を喜ぶような奴、嫌いで、嫌いで、仕方がないのに。心臓が、押し潰されそうに痛くて、辛くて。この気持ちも全部、知っているんだろう。それを憎悪で覆い隠しているのも。だからそんなに愉快そうに嘲笑ってんだ。

「(好きだ、)」

どうしようもなく。だから感情を、想いを殺した。平静を装って、お前が嫌いだって自分に言い聞かせて。嗚呼、しんど。



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