(小十)←佐
『オレ様諦めはいい方だからさ』

なんて言い聞かせるのも何度目か。当たって砕けろなんてガラじゃなけりゃナリでもない。そもそも砕ける前提ってのが嫌だ、うん。溜め息つくのも何度目か、まあこれは仕事に対してもそっちゅうだからどうでもいい。…じゃなくてだ。

「このオレ様が竜の右眼に恋するなんて思わないじゃーん」

独りケラケラ笑うのも虚しく、やっぱり溜め息が出る。恋慕の、ではなくこれは呆れだ。どっかの恋する忍をからかっている場合じゃない。隠し事は得意な方だが…オレ様色恋沙汰に関しちゃどう対処すりゃいいのかわかんねぇんだよね。

「(やっぱ当たって砕けろ作戦か…?)」

それか吊り橋効果とかさ。散々共闘してんだからちょっとくらいオレ様の事意識してくれてんじゃないの?あのカタブツさん…。まあ脳内独眼竜の旦那か野菜の事くらいしか考えてないと思うけどさ。ちょっとくらい、とか、思ったりするわけよ。

「…あーコレ大分重症だわ」

思考が乙女になりつつある自分が嫌で仕事の事を考える。が、このままじゃ仕事に異常をきたすのでどうしたもんかと再び頭を抱える。恋は盲目だとかよく言うがこりゃ厄介だ。とりあえず近々会う機会無かったかね…なんて思いふけってまた溜め息を漏らした。



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