オデン
「挙式なんていらねえよ」

笑いながらそいつは言う。酔ってんのかもしんねぇ、けど。まあ、そんなの挙げるわけにもいかねぇしなあ。

「まあそうだよなー」
「全身全霊を込めた全力のバトルで十分だろ」
「そっち?!」

誰よりも怠惰なこいつが誰よりも熱いバトルを語る、まれにみる姿はなんとも清々しい事この上ない。『愛してる』を叫びながら、なんて想像するだけで興奮しそうだ。

「やらしー事考えてんな?」
「べっつにそんなんじゃねーし」

俺も大分酔ったみたいだな。コップの酒を一気に飲み干す、笑った顔なんて久々だなあって。左手の薬指にはめられた指輪を見ながら、俺はなんて幸せ者なんだろうってつくづく思った。



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