トレ(ジェイ)
水底から引き上げるよりも、陸に繋ぎ止めておく方が楽なんじゃないか。そんな事を思い始めてしまえば手遅れだった。どこにも行くななどと言ってしまえばあいつは故郷にすら帰れない。我が儘を言うような性格じゃなかったんだがな、どうにもあいつに対しては多少強引になってしまうらしい。惚れた弱味か、皮肉なもんだ。出来れば一生傍に置いておきたい、こんな事生まれてはじめてだった。リドルにすら思わなかった、遊びたい事より『仕方ない』方が勝っていたから。けどあいつは、ジェイドは駄目だ。『仕方ない』で済ませるつもりなんて初めから無かった。初めから手放すつもりなんてない、心底不愉快そうな双子の片割れなどお構いなしだ。確かに想い合っているはずなんだがな、不安は拭いきれない。

「(なら俺が、海へ行けばいいんじゃないか)」

俺の『一生』を捧げるのなら、海で果てようが最期にジェイドの傍にいられるのならそれでいい。身勝手だがこれが一番効率が良い気もする。俺と一緒に生きてくれ、最期まで一緒に。理想はあるがまあ、『俺の最期を看取ってくれ』が妥当だろうな。



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