太中(♀)
今生の別れであった。其のつもり、であった。来世では逢うものかと、そう思っていた。

『…二度と其のツラ見せんな』

最期に見た彼の表情は悔しげな、何度も見てきたものであった。何度も、何度も、何度も。君の顔が脳裏に焼き付いて、それから初めて死ぬ事を悔やんだ。

『__中也、』

永い年月が経った筈なのに。あの時確かに私は君の事を愛していたよ。なんて、嗚呼だから、もう、逢いたくなかったのに。秘めた想いは燻り続け、鮮明に成り確実なものへと変化する。

「おれ以外に殺されて、死んだ責任とれよな」

今生では君と共に、生きて死んでもいいのかい。私は言い掛けた言葉を呑み込んで、彼女は笑った。



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