銃二♀
『運命の赤い糸』ってのが目に見えないものだと知ったのはつい最近の事だった。時期が来たら見えるようになるもんだと思いながら生きてきて、だから一向に自分と相手を結ぶものが現れない事に焦りを感じていたのでそれはそれでほっとしたんだけども。まあ、見えたら見えたで、それが自分が想った相手とは全然違ったら嫌だしな。良かったんだ、うん。

「小指なんか見つめて、どうしたんです」

びくりと肩が跳ねる。家を訪ねたのはおれで、ここは銃兎さん家。ソファで考え事してたらそりゃバレるよな…なんて。年頃だし、恋人だし。赤い糸とかさ、気になんじゃん。

「…えっとさ、赤い糸」
「赤い糸?」
「おれ、最近まで目に見えるもんだと思っててさ…」

そこまで言って、三郎に爆笑された事を思い出す。そんなわけないだろって、今考えればそうなんだけども。やっぱり願望としては見えてなくても繋がってて欲しいんだよな、とか。あ、誤魔化すタイミングどっかいったわ。なーんてな?はは、笑えない。

「…随分可愛い事を言うんですね」

可愛い?マジで?銃兎さんはそう言っておれの手を握る。それから左手の薬指に、指輪をはめた。

「赤い糸、ではないですけど」

びっくりしすぎて思考が停止する。何言ってんの、赤い糸よりずっといい物じゃん。泣きそうになる、泣かないけど。だから代わりにその首に腕を回して抱きついた。



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